台風時の停電を解消/EVを移動式蓄電池に
宮古空港ターミナルが実証
宮古空港ターミナル(下地義治社長)は20日、台風で停電となった場合に電気自動車(EV)を移動式蓄電池として電気を取り出し、家庭で使用することが実証できたと発表した。同社は「二酸化炭素(CO2)排出削減や電気使用量の削減のほか、非常時の電源確保も証明できた」と強調。「EVの普及とともに、災害に強い家庭や職場の構築につながれば」と話している。
同社総務部長の下地智さんと、家庭で実証実験を行った沖総合設備の池間敬さんが、宮古空港ターミナルで記者会見し実証実験の成果を報告した。
同社は国の補助を受け、空港貨物棟に太陽光発電と蓄電池設備を設置。貨物ターミナル区域の年間消費電力量の70%以上を補完できるほか、災害時には非常用電源となるよう整備したが、余剰電力をどのように活用するかが課題として残っていた。
今回、事業者が所有しているEV5台に余剰電力を充電し、災害時には電気を取り出して家庭に電力を供給するという実証実験を行った。
13日から14日に掛けて宮古島を直撃した台風18号は、最大8割の世帯で停電を発生させたが、実験を行った世帯では停電しなかった。
会見で池間さんは「自宅アパートは停電区域だったが、EVの電気だけでクーラーや冷蔵庫、テレビなどの家電製品がすべて使用できた」と振り返った。「家族5人で小さい子もいるが、湯沸かし器が使えたのは大変助かった」と話した。
池間さんは1台のEVを所有しての実験だったため、充電する時間帯は自宅が停電となるが「2台使用すれば、昼と夜に分けて交互に電気が供給できる。宮古の各世帯では、平均して車2台を所有しており、将来的にはEVを2台所有するのは可能」と語った。
下地さんは「余剰電力はEVに充電するという繰り返しの中では、CO2や電力使用量の削減しか見えなかった」と指摘。「台風時に停電した場合、実際にEVから電気を取り出して使用するということが今回は見えた」と実証実験の成果を強調した。
「台風時の停電をクリアすることができた。これは、余剰電力と電気自動車という一連のシステムがあって成り立つものだが、市民がそのシステムを知ることでEVの普及が進めばうれしい」と話した、