国際クルーズ船 拠点整備事業が起工/平良港
専用岸壁370㍍を新設/20年4月供用開始へ
国際クルーズ船の受け入れ拠点に指定されている平良港で30日、整備事業の起工式が行われた。14万㌧級のクルーズ船が接岸できる370㍍の専用岸壁を新設するほか、旅客ターミナルを整備する。供用開始は2020年4月。起工式では官民の関係者が工事の安全とクルーズ船寄港に伴う観光振興を祈願した。
拠点港の指定は、改正港湾法に基づく制度。クルーズ会社が旅客ターミナルを造る代わりに岸壁を優先利用できる。平良港では「カーニバル社」が旅客ターミナルを整備するため、港湾管理者である宮古島市が岸壁の優先利用を認める。
整備事業は、今年度から19年度までの3カ年で実施される。北防波堤の外側にクルーズ船用岸壁延長370㍍ほか、臨港道路延長約1・2㌔を整備する。
国の直轄事業で、港湾整備部分の費用は85億円が見込まれている。うち5%程度を市が負担する。
拠点港に指定された国内6港初の起工式で、内閣府沖縄総合事務局の能登靖局長は「平良港はアジアの中心に位置する」と地理的な優位性を強調。「当初は中国発着クルーズの主要拠点寄港地になるが、将来的には下地島空港の活用などによるフライ&クルーズの発着港に発展するものと期待している」と述べ、引き続き宮古圏域の振興発展に尽力する考えを示した。
続いて江﨑鐵磨沖縄担当大臣(代読・島尻安伊子大臣補佐官)が「官民連携によるクルーズ拠点の整備としては全国で最初の着工になる」とし、事業を進めることで「観光客の増加が期待され、宮古島、ひいては沖縄県の観光振興、発展に大きく貢献するものと考えている」と述べた。
石井啓一国土交通大臣(代読・浅輪宇充大臣官房技術参事官)は「拠点形成により得られる効果は、クルーズ旅客の消費等に伴う経済効果にとどまらず、外国人観光客の増加による地域の国際化や文化交流など多岐にわたる」と相乗効果を挙げて着工を祝った。
港湾管理者となる宮古島市の下地敏彦市長は「国際クルーズ拠点が形成されると現状の倍以上のクルーズ船が寄港し、多くの外国人観光客が宮古島を訪れることになる」と期待。「大きな経済効果がもたらされると考えられ、大いなる地域活性化につながるものと確信している」と述べた。
カーニバル・アジア社のポール・チョン副社長は来賓祝辞で、「クルーズ船による宮古島の経済発展の確実な第一歩だ。クルーズ拠点形成の成功に向け、皆さんと共通のビジョンと目的を持って、発展に貢献していきたい」と述べた。
前衆院議員の西銘恒三郎氏や儀間光男参院議員も来賓祝辞で着工を祝った。
事業紹介の後、官民の代表がくわ入れを行って工事の安全を祈願。出席者は大きな拍手を送って港湾整備事業の起工を祝った。