宮古島の魅力高く評価/平良港国際クルーズシンポ
チョン副社長が基調講演
平良港国際クルーズ拠点整備事業起工式に伴う宮古島市主催のシンポジウムが30日、マティダ市民劇場で行われた。基調講演では、クルーズ船社では、世界トップのシェアを持つカーニバル・アジア社のポール・チョン副社長が「クルーズ観光による宮古島の成長可能性について」のテーマで講話した。チョン副社長は、宮古島の魅力について立地や豊かな自然、文化などを挙げ、クルーズ船観光が宮古島の経済発展に大きく寄与する可能性があることを訴えた。
チョン副社長は、カリブ海おける事例と今後の国際クルーズ戦略、同社が描く平良港の将来像について、自らの見解を示した。
平良港への出資については「カーニバル社が今回ターミナルビルの建設に投資する提案は最初の一歩にすぎない」と述べた。
その上で「宮古島がクルーズ船の戦略的な寄港地として成功するかどうかは私たちの投資だけが重要ではない。互いに理解し協力し合いながら同じ目標に向かって進むことが大切」と訴えた。
宮古島の魅力については「最高のビーチを持つ美しい島であり、美しい自然に囲まれ、乗客はビーチで遊んだり、海沿いでさまざまな楽しみができる島。いくつかの美しいビーチは平良港から歩いていける距離にある」と述べ、高い可能性秘めているとした。
一方で課題については「クルーズ船観光が拡大した場合、現段階ではそれを受け入れる十分な設備や施設はないかもしれない。約3000人の乗客が来島した際に、島内観光するためには十分なバスやタクシーなどが必要で、さらに飲食のできるレストランやお店、娯楽施設も必要」と指摘した。
クルーズ船観光が圏域経済に与える影響については「宮古島の経済はクルーズ観光で発展できる。クルーズ船の就航は地元企業にとって、乗客向けのビジネスチャンスと捉えてほしい」と述べた。
そのほかにも「成功のためには魅力的な寄港地となり観光客に喜んでもらい、リピーターを増やすことが大切。そのために地元の企業、自治体の努力も必要。最終的な目的はクルーズ船の乗客が宮古に喜んで訪れ、地元の人たちと幸せな共存ができるということが大切」と話した。
基調講演後のパネルディスカッションでは、長濱政治副市長、「EGL OKINAWA」の小島博子代表、カーニバル社の市川紗恵さん、みなと総合研究財団クルーズ総合研究所の山本三夫所長、三菱地所新事業創造部の坂口泰之部長がインバウンドの受け入れについて提言。沖縄公共政策研究所の安里繁信理事長がコーディネートした。
右肩上がりのクルーズ船需要を踏まえ、税関や出入国審査、接岸後の島内2次交通、多言語を使いこなす人材の育成、島特有の魅力の発信など数多くの課題を指摘。これらを解消していくことでリピーターが得られると主張した。
聴衆はパネリストの発言に耳を傾け、クルーズ船寄港及びインバウンドの増加に伴う宮古島の一層の観光振興に期待を込めた。