島尻で「パーントゥ」現る/国指定文化財
泥を塗り厄払い
国指定重要無形民俗文化財の仮面祭祀(さいし)「パーントゥ」が25日、2日間の日程で島尻地区で始まった。体中に泥を塗り仮面をかぶったパーントゥ3体が1年ぶりに出現し、住民や観光客らに泥を塗りたくって厄除け、招福した。集落内は泥を塗られた人の悲鳴が響いていた。
初日の夕暮れ、集落中央の道路は厄払いと福を招くために訪れた人でにぎわった。全員がどきどきわくわくの表情を交錯させ、3体が現れるのを待った。
3体は仮面を着け、泥だらけのつる性の植物を身にまとい、つえを持ち、裸足のいでたちで現れた。
子どもたちの中から「パーントゥが、来たぞ」と驚きの声が上がると、全員が逃げる姿勢を見せた。
パーントゥが走り出すと、恐怖心から悲鳴を上げて逃げ回る人も。パーントゥは追い付き、捕まえた人に容赦なく泥を塗った。
パーントゥは、幼い子どもには優しく泥を付けた。関係者の家に上がり込むと、家主から祝い酒やごちそうのもてなしを受けた。
パーントゥ 数百年前に、島尻でクバマと呼ばれる海岸に黒と赤の仮面が漂着した。村人は、この仮面は海のかなたから訪れた来訪神と崇敬した。男が仮面をかぶって集落内を駆け回ったのが由来と伝えられている。