絶景見ながら足湯/天然ガス実証調査開始
市、温浴や農業への活用探る/城辺海宝館
宮古島市は8日、天然ガスの利活用方法を探る実証・調査をスタートさせた。城辺保良の海宝館の敷地内に足湯を設置し、温浴事業としての可能性を探るほか、農業や水産活用への実証など四つの事業を実施する。市は今回の実証事業を経て、将来的には事業化の実現を目指す考えだ。開始式で下地敏彦市長は「島の恵まれた資源が、島の環境と経済振興に寄与することを期待する」と述べた。
同事業は、県が2011年度に「天然ガス資源緊急開発調査事業」として、宮古島市などを対象に調査を実施。12~14年にかけて行った試掘調査で、城辺保良に天然ガス資源が確認された。
工事関係者によると、実証・調査は、城辺保良の天然ガス試掘井戸から約350㍍の配管を通して温泉を引き込み、海宝館敷地内の施設でガスと温泉水に分け使用する。
温泉水は1日約300㌔㍑出ており、それを足湯に利用する。
温度は約60度だが、43度ほどに調整されている。
足湯には10人ほどが座れ、保良海岸から東平安名崎へと続く光景が一望できる。
誰でも無料で入れ、時間は午前9時~午後4時30分まで。年中無休で来年3月まで利用できる。午後4時30分以降は、安全対策のため湯を抜く。
開始式では下地市長がバルブをひねって温泉水を出し、さっそく膝の下を湯に浸して感触を楽しんだ。
足湯のすぐ隣には、ハウスを設置。ガスや熱を利用して温度管理を行い、冬場に生産力が低下する葉物野菜の栽培促進を図る実証・調査を行う。今年度はオクラで実証する。
また、メタンガスを利用した小規模発電の実証を行うほか、水産分野では温泉水を利用して陸上養殖の可能性を検討する。
今後の展望として市は①事業化の可能性に向けた取り組み②温泉水の宅配事業を含めたリゾート施設との連携③ガス発電による非常用電源としての可能性-などを挙げている。
広い範囲での展開を見据えながら、次の井戸の掘削に向けた地質調査も検討している。