株出し栽培6割超/17-18年期キビ
労働力の減退顕著に/主流だった夏植えは急減
宮古地区のサトウキビ栽培で、2017-18年期の6割が株出しで栽培されていることが製糖各社や市のまとめで分かった。生産者の高齢化に伴う労働力の減退が顕著に表れた。4~5年前まで主流だった夏植えは急減し、3割強にとどまる。次期作はさらに減少する見通しだ。干ばつや台風などの自然災害に強く、安定生産の夏植えが全体の5割を割り込んだ現状に関係者は危機感を強める。
市のまとめによると、17-18年期の全体収穫面積は5251㌶。このうち株出しは前期比758㌶増の3170㌶となり、全体の約6割を占めている。
一方の夏植えは1849㌶で、前期作と比べて533㌶減少した。12㌶~13年期までは3000㌶台と圧倒的な作型だったが、その後は徐々に減少。前期16-17年期で株出しの栽培面積をわずかながら下回った。
春植えの面積は231㌶と横ばいの状態だ。
地域別にみると平良、城辺、上野、下地の4地区はすべて株出しが夏植えを上回った。伊良部は夏植えが多いものの、「来期は株出しが上回るだろう」(製糖工場)とされている。
1年1作の株出し栽培の普及で収穫面積は拡大しており、増産に向けた生産基盤は整いつつある。
だが、関係機関によると株出しの反収(10㌃当たりの収量)が思うように伸びていないため、大幅な増産は見込めないという。
製糖各社は、株出しの反収が伸びないまま、夏植えが5割を切った現状を懸念する。安定的なキビ生産のためには「全面積の半分程度は夏植えが望ましい」とみている。春植えや株出しに比べて自然災害に強いためだ。現に今期の株出しは夏場の干ばつで大きなダメージを受けており、ただでさえ見劣りする反収は一層下がる傾向にある。
沖縄製糖の砂川玄悠専務は「最低でも全体の50%は夏植えがほしい。今期のような干ばつがあっても、自然災害に強い夏植えでその分を補えるからだ」と安定生産の重要性を訴える。
また、「株出しの反収をしっかり確保しなければならない」と述べ、面積が増えた恩恵を受けるためには最低でも6㌧の反収が必要になると指摘した。
その上で、株出しは切り替えのタイミングが重要だといい、干ばつでダメージを受けた株や3年株の更新を推奨。収穫後は、「成長が早く、反収が取れる農林号を植えてほしい」と農家に呼び掛けている。