苧麻文化の研究に意欲/須田雅子さんが卒論発表
宮古苧麻績み保存会は16日、市総合博物館で北と南の苧麻文化に触れる懇話会を開いた。福島県の昭和村観光協会に勤めている須田雅子さん(49)=東京都出身=が2016年度に京都造形芸術大学通信教育部芸術学科芸術学コースに提出した、試論の卒業論文「苧麻をめぐる物語-奥会津昭和村と宮古・八重山の暮らしと文化-」を中心に発表した。須田さんは「将来は一冊の本にまとめ出版したい」と述べ、今後も研究を続ける意欲を示した。
須田さんは2008年、昭和村の道の駅で「からむし織」と初めて出会った。「からむしは虫と思ったが、植物名であることを初めて知った」と振り返る。
2014年12月、石垣島で八重山上布と出会う。そこで昭和村で「からむし」と称する植物が「苧麻(ちょま)と呼ばれ、からむしと苧麻が同じ植物であること知った。苧麻は宮古・八重山では『ブー』と呼んでいることを学んだ」と思い返した。
論文の第2章「宮古の糸」の項では「苧引きにはミミガイを使う。昭和村のように青を完全に削ぎ落とすわけでもないのに、宮古の苧の繊維の端までつるりと気持ちよく裂け、糸になったときには白く艶やかな光沢を湛えている。宮古の苧の糸は、繊細でありながら、弱さを感じさせず、凜とした気品を漂わせている」と書き上げている。