殺処分減へ民と連携/保健所
「ボランティア譲渡」盛り込む/犬猫の譲渡取扱要領を改正
宮古保健所の「犬猫の譲渡取扱要領」がこのほど改正された。「譲渡対象者」の項目で「犬猫の譲り受けを希望する者が、新たな飼い主を捜すことを目的とした個人または団体への譲渡(ボランティア譲渡)」が新たに盛り込まれた。これにより、県では殺処分件数の減少を目指している。
今回の改正は、県動物愛護管理推進計画の一環で、殺処分削減に向けた取り組みとして返還、譲渡を推進するために民間の動物愛護団体等へのボランティア譲渡を図るとしている。
ボランティア譲渡については、県への登録が必要で、登録された団体や個人は引き受けた犬や猫についての「しつけ」を行い、新しい飼い主を見つけ、正しい飼い方を呼び掛けながら譲渡していく。
今回は、殺処分削減に向けた要領の改正ではあるが、宮古においては野犬などの捕獲収容頭数がなかなか減らない状況が続いており、課題が山積している。
宮古保健所生活環境班の中込秀子主任技師(獣医師)は「飼い主が管理しきれずに増えてしまったペットを引き取るボランティアができたから良かったということではない。受け入れる収容数にも限界があるし、まずはそうした状況にしないために飼い主の意識改革が大前提として必要」と訴えた。
年間の管内における犬の収容頭数は、人口が宮古島市の約240倍の東京都とほぼ同数の400頭前後だが、その処理のされ方で大きな違いがある。
2015年度において東京都の場合は「来所返還」や「譲渡」により、そのほとんどが飼い主か新たな飼い主に引き渡され、殺処分になったのは年間で20頭だった。
これに対して宮古は、引き取りは19頭、返還が36頭、譲渡が21頭に止まり、東京都よりも300頭以上多い、325頭が殺処分となっている。
今年の1月から宮古でも一部の民間ボランティアが動き出し、捕獲収容された犬たちの新たな飼い主探しが展開された。
新たな飼い主探しは島内だけでなく、本土へも広がり、多くの犬が引き渡され、16年度の殺処分件数は141頭と大幅に減少している。
今年度もこれまでに158頭が捕獲されたが、そのうち民間ボランティアなどの取り組みで127頭が譲渡されている。
保健所によると、沖縄本島への移送頭数は今年度12頭だが、このうち10頭前後は新たな譲渡先が本島で見つかったとしており、これまでの殺処分頭数は2~3頭としている。
中込技師は「保健所に相談することがすぐに殺処分ではないということを理解してほしいが、簡単にペットを増やしていいということではない」と訴える。
さらに「まずはボランティア譲渡の受け皿拡充を図ることが大切だが、この問題の『蛇口』を閉めるために宮古全体で考える必要がある」と話した。