デイゴ害虫の天敵放飼/きょう下地島で県内初
【那覇支社】県農林水産部は21日、県花であるデイゴに深刻な被害を与えているデイゴヒメコバチを防除するため、天敵のデイゴカタビロコバチを活用する取り組みを下地島で始めたと発表した。県内初の取り組みで、既に10月26日にデイゴカタビロコバチの第1回放飼を実施している。きょう22日と来月上~中旬も放飼する予定で、県は明確な防除効果が出るのは2~3年後と予想している。
デイゴヒメコバチは、国内では2005年に石垣島で初めて確認され、県内に分布を広げている。成長過程で植物組織をこぶのように異常膨張させる「虫こぶ」を形成し、デイゴの開花率が下がったり、枯れてしまったりする被害が相次いできた。県は、これまで薬剤による防除技術を確立してきたが、コストが高いという課題があった。
このため県は、米国ハワイ州からデイゴカタビロコバチを利用する技術を導入することにし、効果を検証してきた。その結果、デイゴヒメコバチの数を50~60%、最大で80%抑制する効果が確認できたとしている。また、デイゴ1本あたりの防除費用が1000円と、薬剤防除に比べて15分の1程度のコストで済む可能性があり、沖縄の在来種などに影響を及ぼさないことも分かったという。
一方で、実際にデイゴカタビロコバチを屋外で活用することについては、有識者による検討会で「まず小さな離島で環境への影響などを検証する必要がある」との意見が出されており、下地島が候補地に上がったという。県農林水産部は10月10日に下地敏彦宮古島市長を訪ね、デイゴカタビロコバチの放飼について了承を得ている。
10月26日に下地島で行った放飼は、デイゴ1本あたり20~50頭、計7本でデイゴカタビロコバチを放飼した。県は、仮にデイゴカタビロコバチが環境に悪影響を及ぼすような場合には、薬剤処理などで防除を迅速に行うとしている。
県森林資源研究センターの寺園隆一所長は「(デイゴヒメコバチの駆除により)沖縄の県花デイゴに鮮やかな紅色の花が毎年見れることを期待している」とコメントした。