増加する犬収容件数/宮古保健所管内
県全体では減少傾向/殺処分は宮古が2割占める
県全体で犬の収容件数が減少傾向で推移している中、宮古保健所管内では年々、増加傾向で推移している。県全体では過去10年間で収容件数が約3分の1に減少する一方で、宮古はここ数年右肩上がりで推移。現状で県全体と宮古保健所管内が比較できる2015年度で見ると、宮古は383頭が収容された。県全体の収容数が2314頭となっていることから、約17%が宮古で捕獲されている。さらに、殺処分件数についても宮古は325頭で、県全体(1533頭)の21%を占めている。
県全体における収容状況は、07年の7273頭から毎年減少し続け、15年度は2314頭にまで大幅に減少している。
一方で宮古保健所管内は、ここ数年右肩上がりで推移し14年度、15年度とも300頭台後半となっている。
殺処分件数についても県全体は07年の6399頭から15年度は1533頭に減少している。
宮古は、収容状況と同様に殺処分件数も右肩上がりで増加している。10年度に185頭だった件数は、12年度には200頭を超え、さらに年度には300頭台になり2年連続で300頭を超えている。
収容される犬の多くが野犬で、野犬が増える環境について、同所では安易に放し飼いをする飼い主の意識を最大の要因と訴える。
実際に、宮古では放し飼いの犬や野犬を目にする機会は多い。同保健所の上原真理子所長は昨年4月の所長就任時にこの問題に警鐘を鳴らしていた。
「一番気になるのは街中にうろうろしている犬を見る機会が多いこと。飼い主もいないまま犬が自由に動き回っている状況はとても怖いし、那覇などではそうした状況はもうない。なんとか島民の意識の変容を促したい」と話していた。
今の宮古の状況は、人間のペットとして飼われた犬たちの一部が、野生化し、島内で増え続けている。さらに、こうした状況の中で、一部の飼い主が放し飼いすることにより、その飼い主も管理しきれない新しい命が生まれている。
そして、新たな飼い主の決まらない犬たちの一部は野犬化し、それが捕獲されて殺処分頭数が増えるという悪循環が宮古の現状となっている。
同保健所生活環境班の中込秀子主任技師(獣医師)は「とにかく飼い主には放し飼いをしないということを徹底してほしい。県全体では収容件数が減っているので、ぜひ宮古の島民も意識改善をしてほしい」と訴えた。