沖縄防衛局 宮古島駐屯地の計画説明/陸自配備
反対の質問相次ぐ/参加者、工事中止を求める
沖縄防衛局の「宮古島駐屯地(仮称)における建設工事に伴う住民説明会」が3日、下地農村環境改善センターで行われた。会場には約60人の市民が訪れて同局側の説明を受けた。市民からは配備計画の全体像が明らかになっていない段階で造成工事がすでに始まっていることや、宮古島市が市民に対する説明会を一切開催していないことなどを挙げて「住民を無視している。まずは今行われている工事をすぐに止めるべきだ」との声が上がった。
この日の説明会は、配備周辺住民だけでなく宮古島市民全体を対象に行われた。参加した住民側からは配備に理解を示す声は上がらず、ほとんどが反対の声となった。
会場からは配備予定の地対艦、地対空ミサイルの弾を保管する弾薬庫や射撃場などの配備予定地が決まっていない段階での説明に疑問を呈する声が上がった。
ある女性は「現段階における千代田カントリークラブへの配備内容は、自衛隊の保養所と一緒。弾薬庫や射撃場がどこにできるかが説明できない現状では意味がない。全体的な配備内容が分かるまで工事を止めるべきだ」と訴えた
これに対して防衛局側は「指摘の通り。弾薬庫などの配置については現在検討中で、改めて検討が固まり次第、市とも相談したい」との見解を示した。
会場で防衛局側が配布した資料では、中国軍による軍事力の急速な強化や北朝鮮による軍事的な挑発行為などが紹介され、宮古周辺を含め、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している状況が示された。
参加者からは、攻撃能力の高い兵器が配備されることで島が標的となり、平和が脅かされるとの指摘も出された。
防衛局は「誤解してほしくないのは今回の配備計画が特定の国を仮想敵国として対応するものではない。双方が望まなくても不測の事態になることは歴史が証明している。最悪のことを考えて対応することが私たちには求められている」との見解を示した。
そのほかにも、参加者から「同様に配備計画が進む奄美大島では、市の説明会があってから工事は始まった。市が住民に対して何の説明もないまま進んでいる宮古の状況はいびつ。工事の前には市主催の説明会があるべきで、それまでは工事を進めるべきではない」との訴えもあった。
これに対しては「今回の説明会も市と話をした上で開催している。今のような意見が合ったことは市の方にも伝えたい」と述べた。
説明会は予定の2時間を超えても、質問が相次ぎ同局側が30分延長後に打ち切って会場を後にすると、住民から不満の声が上がった。