徹底した水際対策を/口蹄疫防止で緊急会議
畜産関係者 「県の対応遅い」と批判
【那覇支局】宮崎県で口蹄(こうてい)疫患畜が発生し、感染拡大を続けていることから、政府は19日に発生地域の半径10㌔圏内の牛、豚、水牛、山羊などの家畜を全頭処分することを決定し、ワクチン接種を開始することを決めた。宮崎の「非常事態宣言」を受けて沖縄県農水部(比嘉俊昭部長)は20日、42の関係機関や団体長を集め「県口蹄疫侵入防止緊急対策会議」(会長・同部長)を開いた。
会議では畜産関係者から「県の対応が遅すぎる」と批判の声が上がり、侵入防止を「水際」で食い止めるよう今後の対策強化などを協議した。
宮崎県では発生地域の家畜、計約32万3千頭を殺処分するという。同じ九州地区での口蹄疫発生に沖縄の畜産関係者は動揺と不安の色を隠せない。同日の対策会議で県養豚振興協議会の我那覇明会長は、今月20日から那覇空港到着口や港湾タラップでの「靴底消毒」を実施するとの県説明に対し、「宮古、八重山では、いち早く取り組みが講じられている。畜産業全体が壊滅的な打撃を受けかねない事態だ。県はもっと危機感を持って早めに対応すべきだ」と厳しく指摘した。
また養豚経営者協会の代表からは、「本土から山羊の移畜が行われている。自粛ではなく強制措置に踏み込むべきだ」との声が挙がった。これに県事務局は「法的に強制力を持っていないため措置に踏み込めないが、移畜した山羊については安全を調査済み」とし、移畜した生産者に対し、自粛要請したと説明した。
「JAおきなわ」からは競り中止によって経済的なダメージを受ける畜産農家に対し、県からの支援措置を講じるよう要望があった。これに県事務局は「現在、検討を進めているところ」としたが、積極的に何らかの支援策を講じたいとしている。
県はこれまでの防疫対策を再徹底、再確認することに加え、①農場の入口を1カ所に限定②公道から畜舎への通路と畜舎周囲への消石灰散布③野ねずみやハエ、野生動物等の衛生対策-を追加し、関係機関等へ指導文書を送ることを説明した。
さらに「生産者等への説明会」を開催するほか、「口蹄疫侵入実働演習」を実施する予定。県民や生産者への啓発パンフレットを配布するとしている。
20日現在、県内での異常畜発生はないが、異常が発見された場合は最寄りの家畜保健衛生所に連絡するよう呼び掛けた。宮古地区は宮古家畜保健衛生所(電話72・3321)