マンゴーの病害対策で地域奨励賞/県農業研究センター
約7~9割の防除率
【那覇支社】県農林水産部(島尻勝広部長)は19日、マンゴーの「炭疽病」と「軸腐病」についての対策を確立した県農業研究センター名護支所の澤岻哲也上席主任研究員が、日本植物病理学会九州部会地域奨励賞を県内では初めて獲得したと発表した。受賞は11月8日付。
炭疽病と軸腐病は、両方ともマンゴーにカビが増殖する病気。炭疽病は黒い斑点がマンゴーの皮に発生するほか、軸腐病は果肉が腐る症状を示す特徴がある。双方とも収穫前には症状が発現せず、出荷後の輸送段階で発症するため、消費者からクレームが出ることが多かったという。
県が2008年頃に実施した市場調査によると、症状が軽いものまで含めた場合、炭疽病は出荷量全体の約60%で発症して被害額約7億円、軸腐病は約18%での発症で被害額約4億円に上った。商品だけでなく、沖縄産マンゴーのブランド価値の低下を招くなど、大きな課題となってきた。
今回、澤岻上席主任研究員は、マンゴーのつぼみが出る前(12月)から収穫前(6月)まで長期間にわたり特定の農薬を散布することで、約70~90%の割合で病気を防ぐことができる方法を確立した。
また、菌が長期間生存する落ち葉や枯れ枝を農場から取り除くだけでも、約30~40%の発病抑制効果があることも分かったという。
県農業研究センターの新里良章所長は、「この研究成果は、沖縄産マンゴーの高品質果実の安定生産に寄与することが期待される。生産現場への普及・指導を図り、おきなわブランドの確立を推進していく」とコメントした。