事業の監督責任追及/不法投棄ごみ残存問題住民訴訟
証人尋問に市長出廷
不法投棄ごみ残存問題で住民有志が提起した住民訴訟で、下地敏彦市長に対する出張証人尋問が27日、那覇地裁平良支部であった。尋問は非公開で行われ、下地市長に対して原告側代理人や裁判官から問題となっている2014年度に実施した不法投棄ごみ撤去事業における監督責任についての質問が行われた。下地市長は「契約に問題はなく、市に損害は与えていない」との主張を繰り返した。裁判は来年1月23日に結審し3月中に判決となる。
裁判の訴状では、違法な公金支出で宮古島市に損害を与えたとして、下地市長と当時の担当部長に対して、不法投棄ごみ撤去事業の費用2251万8000円全額を、市から2人に請求するよう求めている。
尋問後の会見で原告側代理人の喜多自然弁護士は「今回の尋問を通してこの事業と市長との関わりがより明確になった。市長の責任がはっきりした」との見解を示した。
喜多弁護士によると、今回の尋問は市長の事業前、事業実施段階、事業終了後における責任についての質問が行われた。
同事業の契約について市長が「量は関係ない契約で取れるだけで良かった」との主張していることについて、喜多弁護士は「この事業の担当職員が推定量に合わせるために計量票を偽造しており、それは地検からも(担当職員が)起訴されている。量が関係ない契約との主張には疑問がある」と指摘。さらに、同事業終了後に残存していたごみについて、市側は業者に「瑕疵(かし)」があるとして再撤去の作業をさせていた事も指摘した。
「この裁判当初の段階はごみが残っている状況は契約違反だから、業者に取らせたとの主張を裁判の中でもしていた。契約違反の状態であれば、市が業者に損害賠償してくださいということになる」と述べた。
「しかし、下地市長はそれだと裁判に負けることから、裁判の後半になると『最初から取れるだけ取ればよい契約だった』という主張になった。実際に契約の内容は『原状回復』となっており、工程表があって5カ月掛けて1カ月20%ずつ取って5カ月で100%取る工程表になっている」と矛盾点を指摘した。