「8割は地元で治療可」/増田琉大がんセンター長
がん患者のガイド発行/宮古に特化した情報明記
琉球大学医学部附属病院がんセンター長で医学博士の増田昌人さんが12日、市役所平良庁舎に下地敏彦市長を訪ね、自身が発行したがん患者のための療養場所ガイドブックを紹介し、普及の依頼を行った。ガイドブックは、宮古島市と多良間村に特化した情報で、がん医療の現状や住んでいる地域で安心して質の高い医療が受けられることなどを明記した。増田さんは「がん患者の8割以上は、宮古病院や宮古島徳洲会病院で診断から治療まで完結できる」と述べ、ガイドを活用し正確な情報を確保してほしいと呼び掛けた。
宮古島市編の「がんの診断や治療をどの医療機関で受けたら良いのか」の項目では、例えば大腸がんについての手術と化学療法は「宮古島市内の診療所では困難だが、宮古病院または徳洲会病院で可能」とし、放射線療法について「宮古島市では困難なので、沖縄本島の放射線療法が可能な病院で治療を受けることになる」と記した。
多良間村編の胃がんの化学療法については「多良間診療所でも、飲み薬の抗がん剤治療は可能」などと紹介している。
ガイドブックの特徴は、がんを種類ごとに分け「診断」「手術」「放射線治療」「定期的な外来での経過観察」などがどの病院で対応できる、対応できないを一目で分かるように「○」「×」で表記したこと。
増田さんは「琉大病院まで来てもらって治療しなければならないがんもあるが、胃がんや大腸がん、乳がん、子宮がんなどは宮古でも治療ができる」と強調。「地元でできる医療を知らずに、沖縄本島に行く人が多い。また、『がんになったら、沖縄本島の病院にいかないといけない』という誤解を取り除くことができれば」と話した。
増田さんは、沖縄本島や離島でできるがん治療のガイドブックをこれまでに宮古島市と多良間村を含めて計8巻発行。地元でできる治療などを「○」「×」ではっきりと明記したガイドブックは「日本では初めてで厚労省も高く評価している」(増田さん)。
増田さんらは、ガイドブックの活用説明会・講演会を13日午後1時から、市中央公民館視聴覚室で開く。
講演の演題は「宮古島でできるがん医療について」「病院のかかり方、がん情報の集め方」。入場は無料で、参加者全員にガイドブックを配布する。