空手振興へ 課題共有/シンポジウム
「発祥の地沖縄」に活路/ビジョン策定委が提言
沖縄空手振興ビジョンの策定に向けたシンポジウムが20日、市中央公民館で開かれた。同ビジョン策定委員会のメンバーが提言を交えて協議内容を報告。空手の現状と課題を共有するとともに、沖縄を発祥の地とする空手の普及・啓発に向けて決意を新たにした。
シンポジウムは県文化観光スポーツ部空手振興課が主催。振興ビジョンの策定に向けて県民の声を聞くことを狙いに開いている。
パネリストは元県立芸術大学長の宮城篤正さん、劉衛流龍鳳会会長の佐久本嗣男さん、県農林水産部農政企画統括監の玉那覇靖さんの3人に加え、宮古島商工会議所専務理事の砂川恵助さんがゲスト参加した。
はじめに空手振興課の山川哲男課長がビジョン策定の目的を説明しながら複数の課題を挙げた。道場門下生の少なさや「空手発祥の地・沖縄」の県外認知度の低さを指摘し、こうした課題を解消するビジョンの策定が求められるとした。
この後、パネリストが提言。保存・継承検討部会長の宮城さんは「後継者不足が課題だ」と指摘。道場経営だけでは生活が成り立たない現状も示し、目指す将来像の確立が急務とした。
普及・啓発検討部会長の佐久本さんは、空手に励む児童や保護者にメッセージを送り、「世界大会に出るためには365日の稽古が必要だ。どれだけ空手を続けたかどうか、最後は続けてきた人が勝つ」と熱っぽく語り、志を高く持って稽古するよう呼び掛けた。
振興・発展検討部会長の玉那覇さんは「県外、国外では空手家が皆の尊敬を集めている」とし、空手の認知度を高めることや沖縄の聖地化などを提言した。
ゲストの砂川さんはクルーズ船の寄港に触れ、「国外からの観光客に空手演舞を披露できないか思案している」と話し、空手を通した国際交流を期待した。
会場には親子連れなど多くの市民が来場し、沖縄空手の振興策を考えた。