たんでぃーがたんでぃを考察/ケナンさん
創立20周年講演会
沖縄宮古法人会女性部会(上地克江部会長)創立20周年記念講演会が27日、平良港ターミナルビルで開かれた。フランス人で京都大学非常勤講師のセリック・ケナンさんが「宮古方言の魅力について」と題し講演。独自の研究成果を披露しながら、宮古方言の持つ素朴さや味わい深さなどを紹介した。
ケナンさんは「ありがとう」の宮古方言は「たんでぃがーたんでぃ」「すでぃがふー」「ぷからっさ」「だいんなむぬ」「まいふか」の五つあると紹介。
このうち、「たんでぃがーたんでぃ」は、いろいろな文献をひもとくと「ありがとう」としてきちんと使われていると指摘した。ただ、悪いことをして許してほしい時にも使っていた言葉でもあると話した。
宮古方言には「まつがいがまつがい」(間違い間違い)、「ぬみがぬみ(飲め飲め)」など、「何が何」と繰り返すのが多いとし「これはしつこく言う様子で、『たんでぃがーたんでぃ』も同じ構造。元々何回も頼む様子「お願いだからお願いだから」と繰り返す言葉だったと考察した。
「ありがとう」におわびの言葉が入っていることについては、フランス語の「メルシー」も同様だと指摘。メルシーの基の語源は「容赦」だったが、それが「ありがとう」に変化したと言い、「『たんでぃがーたんでぃ』と同じ変化」と話した。
ケナンさんはまた、日本語の「すみません」は本当に謝っていない時にも使う言葉だとして、「時間が経てば『ありがとう』に変化する可能性もある」と想像をめぐらせた。
「まいふか」は子供を褒める時に使う言葉「おりこうさん」と、目下に対する「ありがとう」の二つの意味があると紹介した。
宮古方言は「ん」から始まる言葉が多いとし「しりとりは終わらない」と話して会場から笑いを誘った。
参加者からは「方言の敬語の使い方を教えてほしい」「宮古方言を短期間でマスターする方法はないか」などといった質問が出た。