生乳の出荷停止決定/酪農牧場が廃業に
給食は2月から加工乳
宮古で唯一、酪農牧場を運営する農事組合法人が酪農事業を廃業することが決定的な状況となった。30日には同法人側と島で唯一の牛乳加工業者側で生乳生産継続に向けて最終の調整が図られたが、協議はまとまらなかった。これにより、同法人から加工業者への生乳の出荷は31日をもって終了。これを受けて、2月以降の学校給食は生乳から加工乳になる。さらに、同法人が所有する約100頭の乳牛は島外に売却される予定となっている。
島内での生乳生産については、昨年7月にこの酪農牧場の土地と建物が競売にかかり、落札されたことが起点となる。
設備と乳牛だけでは事業経営が困難な状況となったが、同法人と加工業者は、島内での牛乳生産継続を目指して、同法人の営業権を加工業者に譲渡する方向で調整を続けてきた。
しかし、その譲渡額についてなかなか折り合いが付かない状況が続き、法人側は今月23日までに生乳出荷を31日で終了し、事業を廃業することを文書で通知していた。
それでも、生乳生産継続に向けて30日には同法人の代理人と加工業者側が話し合いを持ったが、互いの溝は埋まらなかった。
同法人側は「これで、来月からの生乳出荷はなくなった。乳牛に関しても沖縄本島などから購買者が視察に来ているので今後、島外に売却される流れになると思う」と話した。
一方の加工業者側は「別の方法で生乳生産継続を目指していたが、その計画も今は先行きが不透明な状況になってしまった。それでも今後、乳牛をなんとか確保して島内での生乳生産を継続する策を何とか講じていきたい」と述べた。
この加工業者によると、生乳の入荷が無くなっても、2月以降は学校給食への加工乳の提供は可能としている。
しかし、生乳供給ができなくなることで新年度以降は県学校給食会からの補助金もなくなることから、加工乳の値段が高くなる可能性もあるとしている。
さらに、夏場は台風などで船の入港が滞った場合は原料が入荷せず、約1週間も加工乳が提供できない状況も予想される。
この問題をめぐっては、市議会の与党議員団がきょう31日に学校給食への生乳提供に向けて下地敏彦市長に協力を要請する予定となっている。