「宮古」世界王者の礎/ボクシングの比嘉さん
母校と応援に感謝/防衛戦一夜明けて会見
【那覇支社】「宮古に行って良かった」-。世界ボクシング評議会(WBC)世界フライ級タイトルマッチを制し、2度目の防衛に成功した比嘉大吾さん(白井・具志堅スポーツジム)が5日、宮古島を「第2の故郷」に挙げた。浦添市の中学校から宮古工業高校に進んだことを誇り、「宮古に行き、一から始めることができた。もし沖縄本島の高校に進学していたら世界チャンプはなかったと思う」と話し、宮古島の関係者へ感謝を込めた。
比嘉さんは、那覇市にある宿泊先のホテルで一夜明けての会見に臨んだ。白井・具志堅スポーツジムの具志堅用高会長が同席した。
比嘉さんは、防衛戦までの期間に触れ、「長かった」としみじみ語った。「試合は1ラウンドで終わったけど、準備期間を含めると本当に長かった」と苦笑いを浮かべながら話し、減量に耐え、厳しい練習に打ち込んだ日々を振り返った。
防衛戦の試合内容については「想像通りの展開だった。良い感じでいけた」と自身に合格点を付けた。
戦略については具志堅会長が解説した。挑戦者が比嘉の左アッパーカットの連打を警戒してくると想定したという。「相手は左を警戒していたはず。そこに右ストレートをしっかり打ち込めた。左を警戒する中で右を打ち込む。作戦通りだ」と会心の勝利を誇った。
沖縄での王座防衛には「大吾が私に幸せをくれた」と話し、まな弟子の堂々たる戦いぶりをたたえた。
宮古島のファンへの感謝も語った。比嘉さんは「高校の3年間しか住んでいないけど、第2の故郷だと思っている」ときっぱり。「宮古に行って知念(健次)監督と出会い、ボクシングを一から始めた。何もない環境で、ロードワークに打ち込んだ。あのときの経験が、プロになって生きている」と話し、ボクシングの基礎を築いた宮古島に思いを寄せた。
比嘉さんは会見が行われた約40分間、時にユーモアを交える王者らしい余裕を見せながら報道各社の質問に答えた。最後は「沖縄では名前が知られるようになった。これからは全国でも知られるような人気のボクサーになりたい。沖縄を背負って戦う」と決意した。