株出し栽培 機械利用、3割満たず/サトウキビ
生産者の意識低く/反収減の大きな要因に
サトウキビの反収確保に欠かせない株出し管理機の利用率が、収穫面積の3割にも達していない。2018-19年産の収穫見込み面積は2880㌶だが、管理機を使う圃場は802㌶と利用率(28%)は極端に低い。ここ数年急速に普及した株出し栽培だが、反収の増減を左右する肥培管理の面で生産者の意識の低さが際立つ。宮古地区さとうきび管理組合のまとめで分かった。
宮古島市の17-18年産サトウキビの
反収(10㌃当たりの収量)は前期比2・3㌧減の約5・7㌧にとどまる見込みだ。この中でも株出しが4・8㌧と低く、全体量を押し下げている。
1年1作の株出し栽培は植え付けの手間が省けることなどから急速に普及している。14-15年産の収穫面積は1450㌶ほどだったが、4年後の18-19年産は約2倍の面積になった。
一方で、株ぞろえや葉殻の除去に加え、肥料、殺虫剤、除草剤の散布を同時に行える株出し管理機を使う面積は伸びていない。
使わない要因は関係機関で分析中だが、管理機を使わなかった過去の栽培実態や農家の意識の低さが背景にあるものとみられる。
ただ、管理機を使用することで得られるメリットは大きい。県宮古農林水産振興センター農業改良普及課が2014年に実施した調査では、管理機を使った圃場は無処理の圃場に比べて反収ベースで1・3㌧、収入にして1万2000円以上多くなることが分かっている。これは作業料金、肥料、殺虫剤、除草剤の費用を差し引いた数字だ。
管理作業の省力化も図れる。宮古地区さとうきび技術員会は「1カ月、あるいは1カ月半除草いらずの管理が可能」としている。
同会の原口大会長(県農業研究センター宮古島支所研究主幹)は「基本に立ち返り、しっかり肥培管理に努めてほしい。きっちりやらないと収量は減るばかりだということを認識しなければならない」と話し、管理機の利用を推奨した。
株出し栽培の普及で宮古地区全体の収穫面積は拡大を続けているが、反収の低さが要因でその恩恵を十分に得られていない。株出しの反収を上げることが、増産の必須条件となる。