宮古で賃貸牛舎建設へ
県、畜産活性化で予算計上
【那覇支社】県農林水産部(島尻勝広部長)は2018年度予算案で、新たに離島地区で賃貸型の肉用牛集合畜舎を整備する「沖縄離島型畜産活性化事業」に1112万円を計上している。高齢化などにより飼養戸数が減少している宮古地区など離島の肉用牛生産を支援することが目的で、年度は宮古島市に建設する畜舎の設計費と事務費を計上した。宮古での事業実施主体は宮古島市。
県によると、16年の県内での肉用牛飼養戸数(繁殖・一貫経営)は約2490戸で、前年から約60戸減少している。このうち、宮古島市と多良間村の飼養戸数は916戸で、前年から約40戸減っている。県内全体の減少戸数に占める割合は、宮古地区が6割を超える。
一方、新たな農家が肉用牛の飼育に乗り出そうとする場合、畜舎を建設する初期投資が必要なことが肉用牛農家が増加しない一因となってきたという。また、既存の補助制度を活用するには一定数以上の飼養頭数が必要で、小規模農家の支援にも課題があった。
そこで県は、1棟当たり50頭規模の畜舎を建設し、意欲ある農家へ賃貸を行うことにした。畜舎を区分けし、複数の農家に貸し出す。これにより、新たに肉用牛へ参入する農家も大きな初期投資をすることなく畜産経営を行うことができる。既存施設での増頭が困難な小規模農家も、賃貸畜舎を活用することで規模の拡大が期待できるという。県は、19年度からは畜舎建設費を予算計上する方針。
県内の肉用牛生産は近年増加傾向で、16年は過去最高の221億円となった。県畜産振興対策推進協議会は、今後の目標として250億円を掲げている。