ネット上の人権侵害なくそう/吉川誠司さんが人権講演会
市民に対し人権尊重の理念に関する正しい理解と人権尊重思想の普及を図ることを目的に人権講演会(主催・市、宮古地区人権啓発活動地域ネットワーク協議会)が10日、マティダ市民劇場で開かれた。講師に招かれたWEB110(東京都)代表の吉川誠司さんが「ネット時代の人権問題~スマホ利用の低年齢化で大人が注意すべきこと~」と題して講演した。参加者らは、インターネットを悪用した人権侵害の深刻度を学び、ネット社会に人権尊重の思想がさらに広がることに期待した。
吉川さんは、ネット上での▽なりすましによる異性交際の誘引▽家族に対する中傷・脅迫▽デマ情報の流布▽LINEによるいじめ▽リベンジポルノ(不特定の多数の人に公開する嫌がらせ)、出会い・援助交際被害-などについて事例を挙げながら紹介した。
青少年の保護対策に必要な視点の支援としての事例では▽孤食が当たり前の子供が一家団らんのような暖かさを味わえる『子ども食堂』▽親の帰りが遅い子供たちの『夜の児童館』▽困った時にいつでも泊まれる『子どもシェルター』-を挙げた。
講演に先立ち、下地敏彦市長(代読・長濱政治副市長)は「講演会を機会に、家庭、学校、地域で人権問題にどのように向き合うべきかを考えていただき、かけがえのない命の尊さや基本的人権を尊重する大切さを感じてほしい」と呼び掛けた。
同協議会座長の宮良智・那覇地方法務局宮古島支局長は「インターネットの普及により、個人の名誉が毀損されたり、差別を助長する恐れのある表現が掲載されるなど、その匿名性、情報発信の容易さを悪用した人権問題が発生している」と説明した。
その上で「インターネット社会における個人の名誉やプライバシーに関する正しい理解を深めてもらいたい」と述べた。