歴史と伝統に触れる
熟練の技、間近に
苧麻糸展示会が開幕
国の重要無形文化財に指定されている宮古上布の原料となる苧麻(ちょま)糸の展示会が23日から、市伝統工芸品センターで始まった。苧麻糸や糸車などの道具類の展示ほか、貝殻を使った苧麻の繊維取り、糸作りの実演・体験コーナーも設置した。初日から家族連れや観光客らが訪れ、長年にわたって受け継がれてきた伝統文化に触れた。あす25日午後4時まで。
毎年恒例の展示会で、今回で8回目。
主催する宮古苧麻績み(ブーンミ)保存会(下地ヨシ会長)は、苧麻糸手績み技術者養成講座(文化庁による文化財保存技術保存事業の一環)を開講しており、今回の展示会には多良間を含めた16教室に参加した研修生73人の成果を一堂に展示した。
技術の養成には①苧麻の刈り取り②苧麻引き(ブーびき)③苧麻績み(ブーンミ)④糸車を使ってのよりかけ⑤糸の長さと本数を整えるきしかけ-を実施した。
展示された苧麻糸は、研修生たちの技術と努力の結晶で、来館者らは細やかな手作業の精巧さを食い入るように見つめていた。
会場には、熟練者の技を間近で見られる実演体験や、技術者から苧麻の繊維を一本一本つないで糸にする「苧麻績み」体験のコーナーも設けた。
この日は福嶺小5、6年生9人が同センターを訪れ、実演を見たり、体験を通して島の伝統文化に触れた。
同校の児童たちは保存会などから指導を受け、宮古上布の原材料である苧麻の繊維から卒業証書を作成している。
糸作りを体験した新城祐樹君(5年)は「細い糸を手でより合わせて、1本の糸にするのがとても難しかった」と感想を話した。
宮国康智教諭は「展示や体験を通して、職人たちの苦労と上布への思いなどに気づいてほしい。素晴らしい植物が宮古にはあるということを誇りにしてもらいたい」と話した。