受賞者、島への思い熱く/第1回宮古島文学賞授賞式
神津さんらをたたえる/宮古島市文化協会
第1回宮古島文学賞の授賞式(主催・宮古島市文化協会)が24日、市内ホテルで行われた。一席に輝いた神津(こうづ)キリカさん(34)=東京都=に賞状と副賞50万円が贈られた。神津さんは「これからも人の間をつなげるような物語を書いていきたい」と話した。佳作に選ばれた森田たもつさん(58)=宮古島市=と、宮古島市出身の玉元清さん(71)=北中城村=は、ふるさと宮古を意識した作品づくりに意欲を示した。
授賞式には、受賞者と選考委員の椎名誠さん、もりおみずきさんのほか、宮古の文化活動などに携わってきた人たちが出席し、厳粛な雰囲気の中で行われた。
主催者を代表して市文化協会の大城裕子会長は、宮古島文学賞の創設の意義や予想以上の応募数だったことなどを紹介した上で「宮古島が生んだ文学賞を、これからも島を挙げて育てていただけるよう努めていきたい」とあいさつした。
下地敏彦市長は「テーマとなった島が持つ無限の広がりを感じた。宮古島文学賞が島内に文学活動の輪を広げ、いずれは書き手の登竜門となることを期待する」と祝辞を述べた。
受賞者あいさつで神津さんは、受賞作品「水靴(すいか)と少年」は「さまざまな人たちから島に対する思いを聞き、それを要素として再構成した」と話した。
また「宮古の青い海や満天の星空、朝日など宮古の美しい風景が心から沸き立って文章になった」と語った。
「物語を書くのは私的な営みだが、読んだ人の心に何かが生まれる」と神津さん。「個人的な営みだが、その先にある広がりやつながりを見出すことができるということを信じて書いている」と述べた。
「匙(かひ)の島」という作品で二席になった小池昌代さん(58)=東京都=は、受賞の知らせが届いた日に父親が亡くなったと言い「父はずっと私を応援してくれた。何かの一つの区切りが終わり、宮古島文学賞が『もう一回新しく生まれ直しなさい』と背中を押してくれたような気がする」と話した。
佳作の森田さんは「宮古上布を題材に、島の過去と現在、未来を暗示できるような作品になったら良いと思って書いた」、玉元さんは「自分の書いた作品を読んでもらいたかったという思いだけで応募した。宮古島に感謝をしたい」とそれぞれ喜びを語った。
同じく佳作の長野和夫さん(75)=千葉県=はメッセージを寄せ会場で読み上げられた。
引き続き同会場で祝賀会が行われ、舞踊や宮古民謡が披露され、華やかな雰囲気に包まれた。