三線奏で、魅力発信/「さんしんの日」
宮古各地で演奏会
毎年3月4日は語呂合わせで「さんしんの日」。国内外の愛好者が一斉に三線を奏でる。宮古島では宮古民謡協会、宮古民謡保存協会、琉球古典音楽野村流伝統音楽協会宮古支部などが演奏会を開き、三線の音と民謡の歌声を響かせながら三線の魅力を内外に発信した。さんしんの日は、1993年に琉球放送が提唱して始まったイベント。
野村流伝統音楽協会
琉球古典音楽野村流伝統音楽協会宮古支部(波平重夫支部長)の演奏会は、野村流古典音楽の始祖・野村安趙の子孫が経営する市内のレストランで開催された。祝宴の座開きなどで披露される琉球古典民謡の名曲の一つ、「かぎやで風」を正午の時報に合わせて披露した。
演奏会には同支部の会員約30人と琉球箏曲興陽会宮古支部(下里恵支部長)の会員7人が参加し、合同で息の合った歌と演奏を繰り広げた。
この日は全員が午前11時に集合。三線と箏を調弦した上で「恩納節」「辺野喜節」などを披露した。
引き続き正午の時報とともに「踊りくはでさ節」「下り口説」「安里屋ゆんた」などを奏でた。
波平支部長は「会員一同がそろい、歌・三線を奏でられることが大きな喜び。琉球箏曲興陽会宮古支部の皆さんは毎年一緒に演奏し感謝している」とあいさつした。
宮古民謡協会
宮古民謡協会(渡久山徹会長)は、城辺の上区公民館で「さんしんの日」演奏会を開いた。約70人が参加して、とうがにあやぐやなりやまあやぐといった宮古民謡を演奏し、三線と民謡の魅力を確かめ合った。
演奏は午後5時すぎに始まった。とうがにあやぐを皮切りに、大世栄、鏡原馬場、石嶺の道、豊年の歌と続いた。なりやまあやぐや米のあら、家庭和合も演奏し、三線の音と民謡の歌声を会場全体に響かせた。
渡久山会長は「三線愛好者が集まって演奏する良い機会であり毎年楽しみにしている」と話し、「これだけの人数で演奏すると迫力がある。一般の人も見てくれるイベントなので、自分も弾いてみたいという人が増えればなおうれしい」などと期待を込めた。
小学3年生から三線を始め、今では琉球民謡の教師免許を持つ砂川中3年の砂川昌太郎君は「最初は工工四も読めなかったけど弾ける曲が増えるごとに魅力を感じた」と振り返った。「こうしてみんなと演奏できるのはとても楽しい。これからもずっと三線を続けていきたい」と話した。
宮古民謡保存協会
宮古民謡保存協会(砂川次郎会長)の「さんしんの日の集い」と題した交流演奏会はJAおきなわ宮古地区本部2階大ホールで開催された。会員と一般参加含め約120人が参加し、会場全体に三線の音色を響かせた。
あいさつで砂川会長は「待ちに待った『さんしんの日』が今年もやってきた。こうして多くの仲間と一緒に演奏できることをうれしく思う。宮古で一緒に演奏しようと大阪や名古屋からの参加者もいる。ぜひ楽しい演奏会にしたい」と述べた。
演奏会は、琉球古典民謡の名曲の一つである「かぎやで風」で幕開け。子供から大人までが、息の合った三線の演奏を披露した。
そのほかにも、宮古民謡を代表する名曲の「豊年の歌」や「なりやまあやぐ」などを披露した。
また、演奏会は前半と後半に分かれて行われ、後半は「とうがにあやぐ」や「池間の主」「鏡原馬場あやぐ」などを演奏した。
沖縄宮古民謡協会
【那覇支社】「さんしんの日」の4日、沖縄宮古民謡協会(佐和田方恒会長)の呼び掛けで会員や郷友の三線愛好者ら約100人が豊見城市中央公民館に集まり、午後2時の時報に合わせて全員で「かぎやで風」を披露するなどの演奏会が開かれた。同イベントは今年で7回目。
会場では、琉球放送iラジオの特別番組「ゆかる日(縁起の良い日)、まさる日(この上ない日)、さんしんの日」で流れる1時間おきの時報に合わせ、メンバーらが県内各地の会場とともに「かぎやで風」を厳かに奏でた。
次の時報までの合間には、宮古民謡の「とうがにあやぐ」、「池間ぬ主」、「なりやまあやぐ」などを高らかに歌い演奏した。
また、参加者全員が地謡となった演奏や斉唱に合わせ、舞台では宮古舞踊研究所の踊りも華やかに披露された。
演奏を終えて、那覇市に住む50代の女性は「南風原町の出身ですが、自宅近くにある宮古民謡の研究所に興味を持って通い始めて5年目になる。今では、身も心も宮古の人になった気分です」と笑顔で語った。
佐和田会長は「県内外にアピールできるイベントなので、これからも宮古の民謡や舞踊を力強く発信していきたい。普段はあまり弾かれない曲も取り入れたので、民謡を志す人には勉強になると思う」と話していた。