天皇皇后両陛下が来県/平和祈念公園を訪問
国立戦没者墓苑で追悼
【那覇支社】天皇皇后両陛下が27日午後、地方事情視察のため来県した。羽田発の特別機で那覇空港に到着した両陛下は、糸満市の沖縄平和祈念公園を訪問し、沖縄戦の全戦没者の追悼と恒久平和への願いを込めた平和祈念像のある平和祈念堂で拝礼したほか、国立戦没者墓苑でも沖縄戦犠牲者の霊を慰めた。
沖縄平和祈念公園内の沿道には、約600人の市民が詰めかけて、「ようこそ沖縄へ」「ご来県ありがとうございます」の横断幕を掲げ、日の丸の小旗を振りながら両陛下を迎えた。両陛下は車中から手を振り、市民の声に応えた。
沿道で2時間前から待っていた糸満市に住む70代の女性は「天皇陛下として最後の沖縄訪問と聞いていたので、何としても見てみたいとの思いがあった。皇后陛下の優しい笑顔を思い出にしたい」と喜んでいた。
両陛下は、その後は那覇市内のホテルで翁長雄志知事から沖縄の伝統文化、世界への平和発信、米軍基地の現状、近年の経済動向などの説明を受けた。
翁長知事は同日夜、那覇市内のホテルで記者会見し、「国立戦没者墓苑では、県遺族連合会の皆さんに優しく温かい言葉をいただいた。一人一人に声を掛ける両陛下の姿は、苦難の道を歩んできた沖縄の歴史をしっかりと記憶し、沖縄の人々に心を寄せ続けていくことの大切さを示していると思い、目頭が熱くなった」と感想を述べた。
その上で、「沿道や訪問先で多くの県民が笑顔や手を振って来県を心から喜び、両陛下も手を振られて応えられる姿に、私も喜ばしく思った」と話した。
両陛下は太平洋戦争末期の地上戦で一般住民も含め約20万人が犠牲となった沖縄に長年心を寄せてきた。今回の来県は来年4月末の退位を前に、両陛下の強い希望を受けて実現した。両陛下の来県は2014年に学童疎開船・対馬丸の犠牲者を慰霊するための訪問以来で、皇太子時代を含めて11度目。
28日は与那国島を日帰りで訪問。日本最西端の碑が建つ「西崎(いりざき)」を訪ねるほか、伝統芸能を鑑賞し、在来馬「与那国馬」や県指定天然記念物で世界最大級のガ「ヨナグニサン」も見学する。29日は昨年完成した沖縄空手会館(豊見城市)で演舞を鑑賞し、帰京する。