地裁、原告側の請求棄却/「撤去事業の契約は違法と言えない」
不法投棄ごみ訴訟
【那覇支社】宮古島市が2014年度に行った不法投棄ごみ撤去事業をめぐり、市に損害を与えたとして同事業の予算額2251万8000円などを市から下地敏彦市長らに請求するよう求めていた住民訴訟で27日、那覇地裁(森鍵一裁判長)は請求を棄却する判決を下した。同地裁は、ごみ撤去事業の契約は違法と言えず、下地市長に部下を監督する義務違反があったとはいえないと認定した。
この裁判は、宮古島市が発注した城辺保良地区など崖下3カ所で不法投棄ごみを撤去する事業で、作業後も現場に大量のごみが残存していたことが発端となっている。
原告側は、(1)ごみの残存量は想定の7分の1しかなく予算額が著しく高額(2)ごみを撤去する現場は崖下で、全てのごみを撤去するという契約自体が不合理-として、契約そのものを違法と主張していた。
また、事業の監督・検査状況を部下に報告させるべきだったとして、下地市長に監督義務違反があったとしていた。
那覇地裁は、(1)崖下の不法投棄ごみ総量を正確に推計するのは容易ではない(2)市が事後的に行った積算にも一定の信用性がある(3)技術的に困難なごみの撤去までを強いる契約とは考えにくい-として、契約を違法とは言えないと認めた。
下地市長の監督責任については、同事業を担当する市職員によるデータ改ざんを認定したものの、「(当時の市生活環境部長が公金の)支出を命令するにあたり、本来的な職務とかけ離れた職務執行を行った訳ではない。支出命令が違法だったとしても、市長が自発的に察知して阻止する義務があったと認めるに足りない」とした。
弁護側の大城純市弁護士は判決後、「(原告側は)無理な主張になっていた。市担当職員がごみの量を水増ししたりすることもあったが、それは担当職員の思いでやったことで、市長が『水増ししろ』などと言うこともないし必要性もない。当然の判断ではないか」とコメントした。