陸自反対決議を撤回/野原部落会
宮古島への陸上自衛隊配備計画で、上野の野原部落会(平良信男会長)がこのほど、2016年3月に可決した旧千代田カントリークラブへの配備反対決議を撤回した。弾薬庫や射撃訓練場、ヘリパット等が配備されないことを挙げ、▽基地被害の防止▽地域振興策の実現-などの条件を付して事実上の配備容認に転じた。
決議撤回議案は3月25日の常会で諮られた。全56世帯のうち25世帯の代表が出席し、挙手による採決で賛成多数だった(賛成14、反対6、棄権5)。委任状を含むと賛成23、反対7、棄権5の内容だった。
配備反対決議を可決した16年3月の常会と同様、集落の各世帯へ事前に議案を示すことはなく、当日の常会の中で提出した。
撤回決議文には、今年3月の防衛省の説明会の内容を記した。旧千代田カントリークラブに弾薬庫や射撃訓練場、ヘリパット等の施設が配備されないことを反対決議撤回の理由に挙げている。住民アンケートで条件付きの受け入れが55%に達したことも明記した。
旧千代田カントリークラブでは隊庁舎や宿舎などの駐屯地建設が進められている。これも踏まえ、①基地被害の防止に関係機関が取り組むこと②地域振興策の要請③地域と基地との定期協議による信頼関係の構築-の実現を目指すとした。
31日に会見を開いた平良会長によると、常会当日は反対決議撤回に関する賛否が分かれ、1時間以上の議論があった。結果として意見の集約を図れず、挙手で採決を取ったという。
平良会長は「看板やのぼりを設置して反対運動に真剣に取り組み、阻止しようと取り組んできたが、11月には(駐屯地が)着工して形もできてきた」と経緯を説明した。その上で「地元の方の動きも弱くなってきたところがある。できない方がいいが、このまま部落がすたれていくのを見るのも寂しい」と話して国の振興策に期待。「反対したままで何かを造ってくれとは言いにくい」と話した。
野原部落会は今後、のぼりの撤去や市長らへの配備撤回要請の取り下げなどの検討に入る。ただ、集落内には反対の声も根強くある。しこりを残さない取り組みが求められる。