『みやこの祭祀』発刊/市教育委
儀式内容など記録
市教育委員会(宮國博教育長)はこのほど、『宮古島市史 第二巻 祭祀編(上) 重点地域調査みやこの祭祀』を発刊した。重点地域の「宮国集落」「字福里」「宮原地域」で古くから伝わる祭祀の儀式内容を具体的に記録し、祭祀用語などは国際音声記号で表記されており、貴重な資料として今後の活用が期待されている。
2005年10月の市町村(平良市、城辺町、伊良部町、上野村)合併以降、宮古島市史編さん委員会が設置された。今回の『みやこの歴史』は12年に発刊された『宮古島市史 第一巻 通史編 みやこの歴史』に次ぐ2巻目。
『みやこの祭祀』は▽宮国集落の年間祭祀▽字福里の年間祭祀▽宮原地域の年間祭祀▽個別祭祀-に分けて収録。祭場のカラー写真や年間祭祀の一覧、神前に供えられる供物の配置などが分かりやすく記述されている。
宮國教育長は「発刊のことば」の中で「古来より、祭祀は人々の生活の中にありました。厳しい自然環境や労働の中で、人々は五穀豊穣(ほうじょう)、無病息災、航海安全などを願って、集落をあげて数々の祭祀を行ってきました」と述べている。
その上で「しかし、昨今の急激な生活の変化や人々の価値観の多様化に伴い、そうした地域の伝統的な祭祀が急速に失われようとしています」と憂慮している。
同委員会の下地和宏委員長は「発刊に寄せて」の中で「個別祭祀として、1920年代に3度も宮古を訪れ、宮古の民俗や方言を調査したロシアの東洋言語学者・民俗学者ニコライ・A・ネフスキーの『宮古島の結婚と祭礼』(大正12年)、本永清『漲水御嶽のユークイ祭祀と儀礼歌』の2本も収録されている」と述べ、本書が幅広く活用されることに期待を寄せている。
今後、下巻『悉皆(しっかい)調査地域』が発刊される。