市職員に1年6月求刑/不当投棄ごみ訴訟
虚偽公文書作成と行使
不法投棄ごみ残存問題で、昨年12月に検察庁が当時の市の担当職員を虚偽有印公文書作成と同行使で起訴したことを受けた裁判の第2回公判が23日、那覇地裁平良支部で行われた。関係者への証人尋問と、被告の担当職員に対する質問を経て裁判は結審。検察側は被告に対して懲役1年6月を求刑した。判決の言い渡しは6月18日に行われる。
被告人質問で検察側からは、契約の内容や犯行当時の詳しい状況のほか、問題発覚後の市の対応などの疑問点について、説明が求められた。
検察側は「今回の件で市からの懲罰は減給処分だけ。今回、やったことは公務員の職務犯罪としてもけっこう重い罪だと思うが、正直処分が軽すぎると思わないか」との問い、担当職員は「それは分限委員会が決めたことで、分からない」と述べた。
さらに検察側は「なぜこんなに軽いのか思い当たることはあるか、本当は課長やもっと上の上司も了解の上だからじゃないか」の質問には「そんなことはない」と否定した。
そのほかにも検察側からは、事件発生後もこの担当職員が同じ職場で異動にもなっていないことや、虚偽の報告をしたが受注業者も指名停止などの処分は受けていないことなども指摘された。
こうしたやり取りを踏まえた検察側の求刑では▽該当地区の不法投棄ごみを一掃するような説明で予算化した▽市議会や記者会見で虚偽の発表をした-などを指摘した上で、数々の虚偽を前提にした公金支出は不適切とした。
担当職員に対しては「市職員としてあるまじき行為で、その犯行も大規模かつ巧妙で悪質。しかし、犯行を認めており反省の態度もある」とした上で、「犯行に見合った適正な処罰を受けるべき」として懲役1年6カ月を求めた。
弁護側からは「本人は反省をし、家族も更生に協力するとしている。職場から今後解雇される見込みで、公務員の地位を失うほか妻と子どももあり、前科等もなく、常習性もない」として執行猶予付きの判決を求めた。
松原経正裁判官は「結果として犯罪行為に手を染め、いろいろな人に迷惑を掛ける結果になった。そういう事態になったことについてどう考えるか」と、担当職員に投げ掛けた。
これに対して担当職員は「同僚にも迷惑をかけたし、市民の皆さんには公務員の信用を失わせるような行為だった」と反省の弁を延べ、同じ過ちを二度と犯さないことを約束した。
この日は、被告人質問の前に、この問題を追及してきた亀濱玲子県議や受注業者の代表、当時の同僚職員、担当職員の妻の証人尋問が行われた。
この問題は、2014年度に予算額2251万8000円で実施した不法投棄ごみ撤去事業について、城辺保良地区などの崖下3カ所で不法投棄ごみを撤去したはずの現場に大量のごみが残っていたことが原因。
請け負った業者は、この担当職員と示し合わせて市のクリーンセンターで水増し計量を行ったほか、市に提出した報告書の撤去実績も虚偽であったことが後に判明した。