「調査研究Ⅱ」を発刊/アラフ遺跡
市教委に20冊寄贈 江上調査団長が報告
宮古島を代表する無土器期の遺跡「アラフ遺跡」について、同遺跡発掘調査団(江上幹幸団長)がまとめた報告書「調査研究Ⅱ」がこのほど発刊された。27日に市役所城辺庁舎で江上団長が発刊を発表するとともに市教育委員会に20冊を寄贈した。市教委では現在、国指定の史跡候補として同遺跡の範囲調査などの作業を進めている。
報告書を受け取った宮國博教育長は「皆さんの努力のおかげでこうして報告書が発刊されたことをうれしく思う。これが市民はもとより考古学の研究分野で広く活用されることを期待している」と感謝した。
アラフ遺跡は、城辺新城海岸に位置し、今から約2800年~1900年前の宮古島を代表する「無土器期」の遺跡。
同遺跡の調査は、江上さんを団長とする調査団が2000年~06年にかけて8次に渡り実施した。
報告書としては「調査研究Ⅰ」が03年12月に発行され、その時には1~5次までの調査についての内容が報告されている。
今回は、6~8次までの調査報告で、江上さんによると無土器期の中では宮古島市において最も古い遺跡という確定的な痕跡を得ることができたとしている。
そのほかにも、同遺跡からは集石遺構(焼いた石が集中範囲で検出)やシャコ貝製の斧、サメの歯を加工した製品など多くの資料が得られている。
特に、4点のシャコ貝製の斧がまとまった状態で発見された貝斧埋納遺構は世界的にも類を見ない発見としている。
これについて、江上さんは「4点の貝斧は展示されたような状態で埋まっていたと考えている。用途の異なる4点の貝斧がこのようにかごのようなものに入れられて、発見されたのは私が知る限りでは世界で初めてで、かなり重要な資料だと思う」と述べた。
市教委では16年から遺跡範囲の確認などの調査を実施。今回の報告書については、中心部分に関する非常に重要な成果が記されいるとし、国の史跡としての指定作業を進める上でも重要な資料と位置づけている。
現在、宮古にある国指定史跡は「大和井」のみ。今後、「アラフ遺跡」が国の指定を受ければ2例目となる。
贈呈された20部は市内の図書館などへ配布され、平良図書館と城辺図書館で閲覧可能としている。
また、書店等での販売は未定だが、一部2500円で一般への販売を行っている。購入についての問い合わせは江上幹幸(egamitomoko@yahoo.co.jp)まで。