地主代表砂川さんに感謝状/北分館閉館式
図書館敷地無償提供
市立平良図書館北分館の閉館式が14日、市役所平良庁舎で行われ、90年に及ぶ知の殿堂の歴史に幕を下ろした。式では約60年間、敷地を無償提供してきた地主を代表して、砂川恵昭さんに感謝状が贈呈されたほか、2010年から建物を無償貸与してきた県教育庁に建物の鍵が引き渡された。建物は夏ごろに取り壊される予定。
同館はすでに閉館しているが、閉館式は行っていなかった。
開会のあいさつで、宮國博教育長は「これまで長きにわたり市民の知的の欲求に良く応えてくれた。これまで果たしてきた役割の大きさに深く感謝している」と述べた。
謝辞で、下地敏彦市長(代読)は「およそ90年もの間、市民の生涯学習の場として親しまれてきた北分館は郷土資料に特化した国内でも珍しい図書館として多くの郷土史研究家の皆さんにも愛された。土地を長きにわたり無償提供してくれた地主代表である砂川さんを含め多くの関係者に深く感謝している。来年7月にオープンする未来創造センターにも支援と協力をお願いしたい」と呼び掛けた。
式では、地主代表の砂川さんに宮國教育長から感謝状が贈呈されたほか、県教育庁の城田久嗣生涯学習振興課長に鍵が返還された。
利用者を代表して宮古郷土史研究会の下地和宏会長は「私たちにとってこの図書館は活動の場でもあり、豊富な資料も使える素晴らしい図書館だった。また、多くの市民も有効に活用してきたと思う。これからオープンする新しい図書館も多くの市民に愛され、引き続き宮古島の歴史と文化を学べ、宮古を知る場所になることを期待している」と呼び掛けた。
北分館は、1928年8月に宮古郡教育部会「御大典記念」事業の一環として、宮古支庁構内に「宮古簡易図書館(昭和図書館)」として設立された。
その後、戦争や大型台風などで蔵書を失ったり、大きなダメージを受け、新たな建設地を模索してたころ、1950年代末に北学区住民の厚意で現在の場所が無償で提供された。
1961年には現在地に旧館が建築され、79年に現在の建物がオープン。当時の宮古では画期的な近代的設備の整った施設となった。
県の宮古分館廃止を受け、2010年に施設と蔵書が宮古島市に引き継がれ、市立平良図書館の北分館として愛されてきた。
蔵書は2019年7月開館予定の未来創造センターに移される。一部郷土資料は18年4月から市立城辺図書館で閲覧可能となっている。