県、はしか流行の終息宣言
患者4週間発生なし
【那覇支社】県は11日、3月中旬から県内で99人が確認された麻疹(はしか)について、流行の終息宣言を行った。最後に感染を確認した患者が医療機関で受診した5月11日から、新たな患者の発生が4週間以上ないことから、流行が終わったと判断した。県保健医療部の砂川靖部長は会見で、「医療関係者、市町村、県民が一丸となって取り組んだ結果、終息を迎えることができた」と語った。
今回のはしか発生は、県内では4年ぶりで、宮古地区では9年ぶり。県内で最初に確認された患者は、3月中旬に沖縄本島を訪れた台湾からの観光客だった。県によると、この台湾人観光客はタイで感染したとみられるという。
地区別の感染患者数は、北部管内22人、中部管内26人(最初の台湾人観光客含む)、南部管内24人、那覇市24人、宮古地区2人、八重山地区1人。
年代別の患者数は、定期予防接種2回が義務化される前の30代が最も多い31人、次いで20代23人、40代13人と続く。1~5歳の感染は10人で、1歳未満は4人だった。職業別では、観光・接客業が最も多かった。
今後の取り組みとして、砂川部長は、定期予防接種実施率向上に向けた対策の強化を挙げたほか、▽定期予防接種未接種者▽医療従事者・児童福祉施設職員・学校職員▽観光接客業者と海外渡航者-への予防接種の推奨を掲げた。
会見には、県文化観光スポーツ部の嘉手苅孝夫部長も同席し、「今回の流行はゴールデンウイークと重なった結果、沖縄観光に少なからず影響を与えた。多くの県民と観光客の皆様には大きな不安と心配をお掛けした。本日(流行の終息)を境に、官民挙げて観光客の誘客活動に取り組んでいきたい」と述べた。
県によると、はしか流行の影響で746件・5572人について沖縄旅行のキャンセルがあったという。直接的な損害額は、推計で約4億2000万円。
宮古島市と多良間村は、はしかの県内での発生を受け、公費負担の定期予防接種を促したほか、生後6カ月から12カ月未満の乳幼児へのワクチン接種も県と連携して無償化した。また、宮古島市は大人へも予防接種を呼び掛けるなど、積極的な対策も取っていた。