台湾版グラミー賞受賞/HIRARAさん
宮古古謡をモチーフに楽曲
【那覇支社】台湾のグラミー賞とも呼ばれる音楽賞「第29回ゴールデン・メロディー・アワード(金曲奨)」の受賞式が23日、台北市の台北アリーナで開催され、宮古島市出身の歌手、HIRARA(ひらら)さんが台湾先住民族アミ族の「CMO樂團」と共同製作したアルバム「直美」が、最優秀原住民語アルバム賞に輝いた。
このアルバムには、宮古島市城辺福里に伝わる古謡「アンナ(母)を讃えるアーグ」をモチーフにしてCMO樂團がアレンジし、HIRARAさんが宮古島とアミ族の言葉を織り交ぜて歌った「Anna ina」が収録されている。
同樂團との出合いは、2015年に伊江島ゆり祭りのイベントで歌うHIRARAさんの歌を、たまたま島を訪ねていた同樂團のリーダー蘇瓦那さんが気に入ったことがきっかけ。その後、台湾でライブを一緒に開くなどして交流が続いていた。
一昨年、樂團からCDアルバムの共同製作の企画が持ち込まれた。「宮古島に『母親』をテーマにした曲はないですか」と持ちかけられ、宮古で民謡の先生から母親の愛情の深さを表現した古謡「アンナを讃えるアーグ」を紹介されたという。樂團のメンバーも共感し、「Anna ina」が仕上がった。
最優秀賞を受賞したことについて、HIRARAさんは「宮古の古謡を評価した大きな賞がもらえて、非常にうれしい。アンナを讃えるアーグという歌の力のすごさを感じた。これを自信にして、これからも沖縄を拠点にしながら、広く海外にも発信していきたい」と喜びを語った。
歌手活動が約15年になるHIRARAさんは、これまで海外約10カ国で、宮古民謡などをメインにしたライブを繰り広げている。各国での宮古民謡への反応について、「ものすごく評判が良い。旋律がきれいで、三線の音色も、みんな好き。様々な国の先住民の音楽とつながっている」と話した。
HIRARAさんは、音楽分野の裾野を広げるため、今年2月には沖縄宮古民謡協会から師範の免許も取得している。「今回の受賞を機会に、宮古独自の神歌や古謡などを掘り起こしたい。音楽を通して宮古島の魅力も伝えていきたい」と意気込みを見せた。