「仕方がない」の声多く/伊良部高校
存続危機で地元住民/教育環境思い複雑な心境
来年度の入学生募集を停止する可能性に触れた県教育委員会の方針を受け、県立伊良部高校の存続が危ぶまれている。ただ、地元伊良部島の住民は比較的冷静に受け止めているようだ。存続を求める声がある一方、「本音を言えば残したいが、時代の流れだ」「生徒のことを思えば仕方がない」という声が多く聞こえた。募集の停止か否かの判断は、7月の県教育委員会で下される。
今月5日、伊良部高校で県教育委員会の説明会が開かれた。区長や学校長、PTAの役員、存続させる会の役員らが参加した。
説明会に出た伊良部高校PTCA会長の友利真海さんは「残したいという気持ちはみんなにある」と前置きした上で、「個人的にはなくなることは仕方がないと思う。子どもたちの学びの多様性、社会のニーズに対応したいという気持ちを大切にしたい」と話した。
ただ、仮に次年度入学生を取らないとなった場合の慎重な対応を求める。「残される今の1、2年生のことが心配だ。平等に学べる機会が与えられるよう要望していきたい」と話した。
伊良部高校1期生で市職員の島尻勝彦さんも「仕方ない」と受け止める。「選択科目がなく、部活も学校行事もできない。子どもたちがかわいそうだ」と後輩たちをおもんばかった。
住民の声を代表する地元出身市議の間でも、諦めムードが漂う。議長の佐久本洋介さんは「今も1年生が7人しかいないという現状は大変厳しい。生徒たちの教育環境にとって良くないこと」と話し、「地元の関心も薄い」と残念がった。
棚原芳樹市議は「仕方がないことではないか。誰の責任でもない」と言葉少なに話し、新里匠市議は「子どもと親がどう考えているのかを知りたい。本当に迷うところだ」と話した。
一方で、存続を望む声も根強い。伊良部高校24期生の池間舞さんは「自分たちの学校がなくなるのは寂しい。伊良部高校はもともと分校だった。それを含めて何らかの形で残せないのだろうか」と期待を込めた。
こういった声を受け止めるのが伊良部高校を存続させる会だ。近く対応を協議するという。会長の中村雅弘さんは「どうにかならないのか。私たちの立場としては行政と一緒に存続の道を考えたい」と話した。