肥満、やせも高リスク/がんと生活習慣で講演
社会と健康研究センター津金氏/宮古保健所主催
宮古保健所主催の2018年度多目的コホート研究地域講演会が30日、県宮古合同庁舎講堂で開かれた。国立がん研究センター社会と健康研究センター長の津金昌一郎氏が「がんを遠ざける生活習慣」をテーマに、研究結果を基に喫煙や体形、食習慣などと病気リスクとの関連を説明。特定の食品の食べ過ぎや肥満だけでなく、食べなさすぎ、やせもリスクが高まることなどを紹介した。
コホート研究とは、特定の地域や集団に属する大勢の人を対象に長期間にわたって観察する研究で、ある要因を保有しているグループと保有していないグループで、病気の罹患(りかん)率や死亡率を比較する。
多目的コホート研究は国立がん研究センター社会と健康研究センターが、宮古島を含む全国の11地区の住人、約14万人を対象に1990年から行ってきた。
講演会で津金氏はこれまでの研究の結果、宮古島の人は胃がん、肝臓がんが少ない一方、大腸がん、子宮がんはやや多い傾向にあることを紹介。塩分摂取量が多いと胃がんになりやすいが、宮古島は塩分摂取量が他地域と比べ少ないことが胃がんが少ない一つの要因との考えを示した。
がん予防と健康長寿のためには、野菜、果物不足にならないことが必要と指摘し、1日に400㌘摂取することを推奨した。反対に肉類を多く摂取すると大腸がんなどのリスクが高まることを説明。しかし少なすぎると脳卒中のリスクが高まるとして「不足しないことも重要」と語った。
体重で比較した場合、太っている人だけでなくやせている人もがんにかかる割合が多くなることを指摘し、太りすぎず、やせすぎない体重管理が重要と訴えた。
喫煙はがん罹患リスクを高めることから、吸わないだけでなく、他人のタバコの煙を避けることも必要と指摘。飲酒は量が多いとさまざまな病気の罹患率を高めるが、1日ビール大瓶1本程度であれば心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げることを紹介し、適量飲酒を呼び掛けた。
適度な運動も糖尿病や循環器系疾患のリスクを下げると語る津金氏。がん予防のためにはバランスの良い食事と運動を心掛けるべきとの考えを示した。