春植え被害一部で深刻/サトウキビ
台風直撃 折損多く/技術員会開き対応協議へ
台風8号の直撃で、春植えのサトウキビ畑で被害が広がっている。比較的植え付けが遅くなった圃場を中心に折損が多く、ひどい圃場では被害率が70%にも及ぶ。今期は春植えの面積が拡大しているだけに収量や品質に与える影響が懸念される。行政や関係団体で構成されるさとうきび技術員会は19日、緊急の会合を開いて対応を協議する。
台風8号は10日、宮古島地方を暴風域に巻き込みながら西に進んだ。各地のサトウキビは長時間強風にさらされ、葉の裂傷や梢頭部の折損被害が発生した。市によると被害率はおおむね8・5%、5億7800万円の被害が出ている。
特に生育旺盛期にある春植えの被害が大きい。早めに植えた圃場のサトウキビは一定程度高さがあり、強風を受けてもしなって折損を免れている。一方、比較的植え付けが遅かった圃場においては茎や梢頭部が折れる被害が相次いだ。
県農業共済組合宮古支所によると、台風通過後の被害報告は18日までに計25件あり、このうち23件は春植えの圃場だった。
現場では、「春植えはもうこりごりだ」や「RK97-14(通称33号)は使いたくない」といった生産農家の声もあるという。
RK97-14は関係機関が推奨する品種で、収量が抜群に良い。このため1年1作の春植えには最適の品種だが、今回はその品種を含めて被害が出ていることから一部で不満が噴出しているものとみられる。
ただ、品種を問わずこの時期に台風が接近すると春植えは確実にダメージを受ける。圃場の位置、防風林の有無、風向きにも左右されるため、今回の被害もRK97-14に限ったことではない。
サトウキビは生育ステージによって被害の程度が変わる。今後は植え付け期をいかに早めるかが被害軽減の焦点になりそうだ。
被害圃場の現場では、対応に戸惑う農家もいるという。対策としては①そのまま栽培する②切り戻す③すき込んで夏植えにシフトする-などが挙げられる。
①の場合は、折れたキビを根元から切って分けつを促進する。反収を確保するためだ。②は株出しの要領で株ぞろえを行う。キビの高さが低ければ管理機を入れられるが、ある程度成長していると管理機は入れられない。従って草刈り機などを使う人力作業を余儀なくされる。③は収穫を諦めてすき込み、夏植えにシフトするというもの。まとまった収量が見込めない場合の選択肢となる。
ただ、いずれの方法もメリットとデメリットがあるため、最終的には農家判断の対応になる。技術員会では、取るべき対応を何らかの形でまとめ、早い段階で農家に明示する方針だ。