救急医療 抜本改革へ/県と市村の意見交換会
利用増え県と市連携/協議会設置し具体的検討
県立宮古病院の救急室利用が増加していることを踏まえ、県と市が抜本的な救急医療改革に取り組む。救急室に隣接する市の休日夜間診療所のあり方を根本から見直すほか、手狭な待合室や不足するベッド数、インフルエンザ等の感染を防ぐ手立てを構築する。早い段階で協議会を設置して検討を進める方針だ。31日に開かれた意見交換会で、県と市が認識を共有した。
宮古病院によると、救急車による急患搬送の受け入れは2012年度の1854件から16年度は2349件に増えた。救急室の利用件数も増加傾向にある。
救急室は、市の休日夜間診療所と隣接しており、通路を待合室代わりに使用している。このため、救急室前のシートは満席になる場合が多いという。
意見交換会で宮古病院側は①狭い待合室は感染症の観点から問題②現在の3室の救急診察室、5台の観察用ベッドでは不足している状況③麻しん、新型インフルエンザ発生時に、発熱外来を救急室の外に設置するなどスペースの確保に苦慮している-などの課題があることを報告した。隣接する市の休日夜間診療所が別組織であるため、設備の共用ができないという柔軟性に欠く現状も指摘した。
さらに、外国人観光客が増える中で検疫所がないことに触れて感染症の広がりを懸念。宮古病院の本永英治院長は「危機感を持っている」と体制強化の必要性と緊急性を強調し、救急室と休日夜間診療所の役割を話し合う場を求めた。
県の提案に宮古島市の下地敏彦市長は「私たち市民の生命に関わる問題だ。喫緊の課題であり、抜本的なところからやらなくてはならないと考える。医師会を含めて、新しい体制のあり方を話し合いたい」と全面協力の姿勢を示した。
これに本永院長は「構造的な修正が必要になるのではないか。より良い安全なサービスのために役割分担を考えたい」と述べた。
この日の意見交換は、県と宮古島市、多良間村の担当者が参加した。3者それぞれが要望し、担当課が回答する形式で行われた。
市が求めたアオドウガネの誘殺灯導入に関して県側は「新規の導入を検討している」と答え、セーフティーネット基金を活用して導入する方針を示した。
県の農林水産物流通条件不利性解消事業の対象品目にイモの加工品を追加する要望や、宮古空港横断トンネル整備については「検討課題」の回答にとどめた。
多良間村は農業用廃棄プラスチックの処理に関する事業の導入を切望した。県は「平成30、31年度の一括交付金事業の離島廃棄物適正処理促進事業で検討を予定している」とした。