「健幸」に今を生きる/離島がんフォーラム
元患者や家族が体験談
県がん患者会連合会は18日、離島がんフォーラムを市中央公民館で開催した。患者や家族、看護する側など、それぞれが体験談を報告。患者も支える側も「健幸」に「今を生きる」ために互いに支え合いながら、未来に向かって歩き続けることの大切さを訴えた。
この取り組みは、県がん患者等支援委託事業。今回で6回目。会場には多くの市民らが詰め掛け、がんと向き合った患者や、最愛の人を失った悲しみを克服した家族などからの報告内容に聞き入った。
「人は誰でも、前に向かって進む力を持っている」をテーマに報告した県がん患者会連合会の安里香代子事務局長は、9年前に最愛のパートナーをがんで失った際、喪失感と無力感で日々を過ごしたことを紹介した。
歌と酒が大好きだったパートナーとの思い出を振り返りながら、安里さんは「当時、苦しい日々の中で聞いた『千の風になって』の歌が大きな励ましになった」と述べた。
安里さんは「この歌詞の『朝は鳥になって あなたを目覚めさせる。夜は星になって あなたを見守る』というフレーズに励まされ救われた」と話した。
パートナーが息を引き取る直前に、かすかな声で「ありがとう」の言葉が今も心の支えとなっていると語った。
その上で安里さんは、患者会の中で出会った人々との交流が現実を受け止めて、前に進む勇気をもらったことを紹介した。
「がんは早期発見と早期治療が大切。そのためにも定期検診の受診をしてほしい」と呼び掛けた。
「死ぬも生きるも100%全開」をテーマに報告した「なね~ずの会・八重山のがん患者を支援するやいまゆんたくの会」の黒島冨士子さんも、長く苦しかった自らの乳がん闘病の日々を報告した。
黒島さんは苦しい闘病生活の中で、子供や周囲の人たちに支えられたことや、励ましの言葉が大きなエネルギーになったとし「日々精一杯生きることが大切」と訴えた。
県がん患者会連合会の田名勉会長は、がんで声帯を失いながらも、声を取り戻した体験談を紹介。県立看護大大学院の神里みどり教授は「補完代替治療」、沖縄がん心のケア研究会世話人の豊見山喜美さんは「言葉にできない子どもの想いに寄り添う」をテーマにして講話した。
「健幸」とは、心と体の両方が健康で幸せなことを意味する造語。