伝統の大綱引きに沸く/上野宮国
東が2勝し今年は豊作
旧盆の「送り日」に毎年、上野字宮国で行われる伝統行事「宮国の大綱引き」が25日夜、宮国公民館前の通りで、盛大に行われた。地域住民や観光客らが「東」と「西」に分かれ、大きな掛け声で全長約100㍍の大綱を、こん身の力を込めて引き合った。今年は東が2勝で、向こう1年の豊作が約束された。1回目の綱引きは勝負の行方がはっきりせず「引き分け」に終ったため、今年は4回の綱引きとなった。
昔は子供たちが綱を作っていたが、子どもが少なくなった今は、地域の大人たちが中心になって綱を編み上げている。また、綱の材料となる「キャーン(シイノキカズラ)」が年々減少、綱に必要な材料を地域内だけで集めることが難しくなりこの日午前中に伊良部島で集めてきた。
午後9時ごろから、始まりを告げるホラガイと鐘の音が集落内に鳴り響くと、地元の人や旧盆で里帰りした人、観光客らが続々と集まり、公民館前の道路は熱気に包まれた。
東西の綱をつなぎ、綱引き前の踊りを舞った後に開始。威勢良い掛け声を上げながら汗だくになって綱を引いた。
綱を編んでいるときは雨が降っており、開催時刻を早める話し合いも行われた。宮国自治会の垣花秀明会長は「お盆の大切な行事なので、予定通り午後9時ごろ開始で行いたい。子どもたちも綱編みを手伝った。伝統行事なので、一生懸命やりたい」と話した。
宮国の大綱引きは1995年、旧上野村の無形民俗文化財に指定された。豊穣(ほうじょう)を祈願する祭りだが、起源は定かではない。