投開票まで1カ月/県知事選
佐喜真氏玉城氏 事実上の一騎打ち
【那覇支社】9月30日に予定されている県知事選の投開票まで1カ月となった。自民党と公明党が推す佐喜真淳前宜野湾市長(54)と、「オール沖縄」側の玉城デニー衆院議員(58)で事実上の一騎打ちの構図となっており、両陣営とも超短期決戦に向け態勢構築を急いでいる。県知事選は11月18日に予定されていたが、故翁長雄志知事の死去により2カ月近く前倒しされている。
県知事選をめぐっては、両陣営とも曲折があった。保守系では、自民党などで構成する選考委員会が佐喜真氏の擁立を決定したが、一時はシンバホールディングス会長の安里繁信(48)も出馬を表明して保守分裂の可能性も出ていた。候補者が一本化されたのは、今月に入ってからだ。
「オール沖縄」側も、当初は翁長知事の再選出馬を目指していたため、知事の急逝で選挙戦略の練り直しが必要になった。後継候補者として玉城氏が正式に出馬表明したのは29日で、出遅れ感も指摘される。
また、4年前には翁長知事を支援した企業グループが自主投票に転じたこともあり、「オール沖縄」側が前回の選挙ほどの盛り上がりを見せるかは未知数だ。自民党県連関係者は「『オール沖縄』は、実態がなくなっているのに、彼らはそこにしがみついている」と語る。
ただ、「弔い合戦」で大量の同情票が玉城陣営に流れる可能性もある。そのため、佐喜真陣営は翁長知事への批判を避ける一方、前回は自主投票だった公明党から推薦を取り付けたほか、日本維新の会にも支援を要請するなど、組織的な取り組みを進めている。
玉城陣営は、翁長県政の継承を全面に出す戦略だ。玉城氏は29日の会見で「翁長知事の遺志」という言葉を強調。オール沖縄側の関係者は、「出遅れとも言われるが、デニー氏の出馬表明から盛り上がる」と強気の姿勢も見せる。
県が近日中に行う予定の埋め立て承認「撤回」も、有権者の投票行動に影響を及ぼす可能性がある。今後の両陣営の動きが注目される。