辺野古埋立 県、承認を「撤回」
【那覇支社】県は31日、米軍普天間飛行場の辺野古移設に関する埋め立て承認を撤回した。謝花喜一郎副知事は会見で、「翁長知事の強く、熱い思いをしっかりと受け止めた上で、適正に判断した」と語った。これにより工事は停止することになるが、国は執行停止の申し立てなど法的な対抗措置を取る方針。撤回は9月30日投開票の県知事選の情勢に影響を及ぼすことも考えられ、今後の国と県の動向が注目される。
県はこれまで、故翁長雄志知事が撤回手続きに入ったことを7月27日に表明し、国が埋め立て地区に土砂投入を行う前に工事を止めることを目指してきた。
一方の国側は、翁長知事の急逝を受け、土砂投入を8月17日にも実施する当初の方針を転換。9月30日の県知事選を見据え、土砂投入を先延ばしするなど、県と国の「神経戦」が激しさを増していた。
31日の会見で、謝花副知事は工事区域で軟弱地盤や活断層の問題が指摘されたほか、工事完成後に国立沖縄高専の校舎が高さ制限に抵触する問題も判明したこと、サンゴやジュゴンの対策に問題があり環境保全上の支障が生じたことなどを撤回理由として挙げた。
記者団からの「(撤回の)判断を、間もなく行われる知事選での県民の判断に委ねる判断はなかったか」との質問には「違法な状態を放置することが出来ないという、あくまでも法律に基づく行政の原理に基づいて行政手続きとして行った」と述べた。
会見に同席した知事職務代理者の富川盛武副知事も「時期や政治的判断は一切ない。あくまでも客観的なデータを基に判断した」と強調した。
一方で、謝花副知事は「県としては選挙の動向について申し上げることは控えるが、(県知事選に立候補を表明している)玉城デニー候補は、翁長知事の遺志を引き継いで頂けると考えている」とも語った。謝花副知事は、8月29日に行われた玉城氏の出馬会見にも同席している。