潜在保育士 掘り起こしに着手/市議会文教社会委
待機児童解消へ新手
待機児童解消対策で、宮古島市が「潜在保育士」の掘り起こしに着手する。資格を有しながら保育の現場から離れている人や、別の職種で働く市民を対象に復職支援セミナーや相談会を開く。事業を通して不足する保育士を確保し、保育環境を充実させて待機児童の解消を狙う。6日の市議会文教社会委員会で、下地律子福祉部長が事業概要を説明して理解を求めた。
事業は今月30日に動き出す。同日午後2時から市中央公民館で復職支援セミナーを開催。来月14日には市役所平良庁舎で復職相談会と現役保育士との意見交換会を予定している。
このほか年度内に二つのイベントを持ち、次年度には潜在保育士が現場で働けるよう体制を整える。
下地部長は「これまでも対策を講じてきたが、まだ保育士は足りない状況」と指摘し、「潜在保育士向けのセミナーなど、いろいろなことをして保育士を確保していきたい」と話した。
福祉部によると、市の待機児童は今年4月1日時点で28人いる。前年同時期の63人と比べると減少しているものの、市内保育園の施設環境や保育士不足が影響し、まだ待機児童ゼロの達成には至っていない。
保育士の確保に向けてはここ数年、市が国や県の事業を活用しながら資格取得の講座を開いたり、島外から訪れる保育士の渡航費を補助したりする対策を講じてきた。公立の保育所に勤める臨時職員の賃金を上げたり、資格取得を目指す人を雇い入れた民間の園に補助金を出したりもした。
だが、人手不足もあって思うような成果は挙げられていない。市議会9月定例会には関連予算の減額を提出。働く人を雇用した園に補助金を出す事業費を820万円削った。市によると申請12園のうち6園がこれを取り下げたためで、募集しても人材を確保できないことが理由だという。
6日の市議会文教社会委員会では、この減額案への質問が出た。佐久本洋介氏は「待機児童は市民の生活に密接に関わる。今後の市の対応は」と問うた。
これに下地部長は「渡航費の助成や資格取得の講座の実施などの対策を取ってきたが、それでも足りていない」と明かし、「今年度は潜在保育士のための事業を進めていきたい」と話して委員の理解を求めた。
30日に行われる復職セミナーの受け付けは近々始まる。問い合わせは福祉部児童家庭課(電話73・1966)子ども政策係まで。