野鳥の環境守ろう/県民カレッジ
サシバ観察、渡り学ぶ
2018年度おきなわ県民カレッジ宮古地区広域学習サービス講座第3回「宮古の野鳥、そして、サシバを観察しよう」が20日、宮古野鳥の会の仲地邦博会長を講師に迎え、県宮古事務所で行われた。市民ら約20人が参加し、宮古島の野鳥やサシバ(タカ科)について学んだ。座学後、サシバの渡りを観察するため一行は下地島に移動した。
仲地会長はサシバを守る理由として「サシバは食物連鎖の頂点に位置する種(アンブレラ種)で、サシバが生きやすい環境は、人間にとっても生きやすい環境」と説明し「サシバの繁殖地、中継地、越冬地が協力し、個体数の減少原因を無くし、サシバの飛来数回復を」と訴えた。
「サシバの保護に関する活動は繁殖地、中継地、越冬地での連携が重要との認識から、2019年5月には繁殖地の栃木県市貝町で、20年10月に中継地の宮古島市、翌21年に越冬地のフィリピンのカガヤン州で国際サシバサミットが開催され、地域の活動から大きな広がりを見せつつある」と今後の活動を紹介した。
サシバの現状について仲地会長は「渡りの中継地における長年の通過個体数調査から、日本における生息数の減少傾向が読み取れる」とし「2006年12月に絶滅危惧Ⅱ類に指定された」と述べた。
個体数の減少は▽日本の繁殖地環境の悪化▽中継地の生息環境悪化▽越冬地の東南アジアの森林伐採や密猟-などが原因とした。
宮古諸島の野鳥についてはこれまでに22目64科352種(今年9月末現在)の野鳥が確認されおり、そのうち1年間通して宮古諸島にいるキンバトやカラスバトなどの「留鳥」、繁殖のため南から宮古諸島来る「夏鳥」、越冬のため北から来る「冬鳥」、北で繁殖し越冬のため南下の途中で宮古諸島に飛来する「旅鳥」と台風などの影響で宮古諸島に希に飛来する「迷鳥」に分けられる。
「この割合は留鳥が27種(全体の7・7%)、アカショウビンなど夏鳥が8種(同2・3%)、サシバなど旅鳥が96種(同27・4%)で迷鳥が135種(同38・5%)で、イソヒヨドリやスズメ、ヒヨドリなど宮古で年間を通して見られる野鳥は少ない」と説明した。