県功労者に邊土名さん
土地改良事業に貢献/来月3日表彰式
県は26日、今年度の県功労者を発表した。県の発展に貢献し、功績の顕著な人を表彰する制度で、県全体では10人を選出した。宮古島市からは農林水産部門で島尻地区の土地改良事業などに尽力した邊土名豊一さん(79)=平良島尻=が選ばれた。表彰は「文化の日」の11月3日、那覇市のパシフィックホテル沖縄で開かれる。玉城デニー知事が表彰状を贈呈し、長年の功績をたたえる。
邊土名さんは、長年にわたり農業に従事。サトウキビやマンゴーの生産振興に貢献したほか、土地改良事業などを活用した生産基盤の整備、農業担い手育成に尽力するなど地域の活性化や農業の発展に貢献した功績が認められた。
邊土名さんは県からの連絡を受け、「これまでの行政機関の支援協力、島尻住民の団結と信頼関係、在沖島尻郷友会の大きい後押しが表彰されるきっかけとなった。とても感謝でいっぱい」と感無量の表情で重ねて強調した。
邊土名さんは大変苦労した時代を懐かしむ。
「島尻地域の農地は段々畑のような地形で良くなかった。昭和50年代、当時の平良市が農村基盤総合整備事業を導入するために説明会を開こうとした。しかし説明会を開く公民館がない。行政から『島尻地域は土地改良事業の前に公民館のような施設から先に整備すべき』と助言された。当時の市主催の産業共進会では毎年最下位だった」と語る。
さらに「当時急に自治会長の任を受け、住民が集まる施設づくりに向け奔走した。行政のおかげで今なお残る島尻農村研修集会所が完成した。住民を対象にした説明会を開催。農村基盤総合整備事業の採択に向け、受益農家80%が同意し、その後100%の同意が達成できた」と振り返る。
邊土名さんは「平成5年度までには120ヘクタールのほ場整備が完成した。地下ダムを利用した県営かんがい排水事業を導入し、キビ生産向上や機械化農業の振興、肉用牛の振興にも力を入れた。産業共進会では何回も優勝するようになった」と笑顔で語った。
島尻自治会長、宮古土地改良区理事、県さとうきび生産法人連絡協議会宮古支部長などを歴任した。