診療費未収2億5000万円/宮古病院9月末
「経済的理由」多く/医療サービス低下懸念
宮古病院(本永英治院長)の2018年9月末時点における診療費個人負担分の未収金額は2億5194万6779円となり、対前年比で758万962円(2・9%)減少した。3年連続での減少となるも依然として2億5000万円を超える膨大な累積未収金があることから、本永院長は「宮古病院は独立採算で病院経営を行っている。未収金が膨大になると病院経営にも影響を及ぼし、医療サービスの質の低下にもつながる。ぜひ、未収金を減らすために理解と協力をお願いしたい」と訴えた。
未収金の理由別で最も多いのは、亡くなった人や行方不明者などの長期にわたり回収できない「その他」の項目で全体の3割以上を占め、金額も7858万円となっている。
そのほか、経済的理由(分割納入)が24・7%で6215万円。経済的理由の納入約束不履行が19・7%で4969万円などとなっている。
また、2年を経過した未収金については17年度から法律事務所への債権回収委託を開始しており、それに伴う「弁護士委託」分については20・5%で5175万円となった。
未収金が発生する要因については▽生活困窮で支払い能力がない▽健康保険料未納に伴う自己負担分の増加▽支払い約束の不履行-を挙げている。
同病院では「経済的に苦しい場合は相談してほしい。また、健康保険料が未納になると、医療費が全額負担になるだけでなく、高額医療費制度も利用できなくなるので保険料はしっかり納めてほしい」と呼び掛けた。
医療費の未収金のうち、保険料の未納を含む保険証が確認できなかった割合が最も多く43%。次いで国保加入者が35%で社会保険加入者は12%となっている。
未収金の最高額は532万円。100万円以上は33人。10万円以上は523人となっている。
未収金対策について、同病院では▽支払い約束不履行者への文書督促(分割納入中を除く)▽高額未収者への電話や訪問による督促▽特に悪質と思われる未収者に対する法的措置の実施-を実施するとしている。
本永院長は「宮古病院の経営は独立採算。ほぼ8割以上は患者からの外来収益、入院収益の経費でもって職員の給与を支払ったり医療機器の購入などを行っている。未収金問題は大きな課題であり、地域医療を守るためにもその縮減に向けて理解と協力をお願いしたい」と述べた。