人手不足、深刻化/沖縄公庫懇談会
背景に好調な経済
各業界から悲痛な声
沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)と宮古経済界代表や行政トップらが意見交換する2018沖縄公庫・宮古経済ワイドー懇談会(主催・沖縄公庫)が2日、市内ホテルで開かれた。入域観光客が好調に推移し、それに伴うホテルやアパート建設の需要が急激に増加している一方で、「人手不足」はさらに深刻化。管内おいては旺盛な資金需要が予想されるのに対して、実際は「人手不足」などに起因して設備投資の申し込みにまでこぎ着けない状況となっていることが示された。
この懇談会は、宮古地域における産業や経済動向および公庫に対するニーズを把握するほか、地域の人たちと相互理解を深め、宮古地域の一層の経済発展に寄与することを狙いとしている。
ここ数年、好調な圏域経済において、この懇談会でも常に「人手不足」は課題となっていたが、今回は各方面の人手不足がより深刻化していることが報告された。
下地隆之氏(まるちく社長)は、大型クルーズ船の就航増で2次交通不足が課題となっていることを説明した上で「乗務員が不足し、需要はあるが供給できていない。乗務員の平均年齢は65歳。このままではあと数年で乗務員がいなくなる可能性もある」と訴えた。
また、乗務員確保に向けた取り組みについては、時間の調整ができることから子育て世代の女性や公務員の定年退職者などをターゲットにする取り組みを行っていることを説明した。
住宅情報センターの佐和田功社長は「現在、宮古の賃貸物件の入居率はほぼ100%。さらに、家賃の高騰が続いている。特に今年は高騰しており、引っ越しもできない状況となっている。今の宮古は需要と供給のバランスが崩れている」と訴えた。
そうした中、アパートや戸建ての部屋が空いた時に、その部屋が民泊に変わることも最近増えていることも報告された。
さらに、市街地以外は空き家が多かったが最近は埋まっているほか、土地についても本土企業からリゾート地、市街地の宿泊ホテル用地についての問い合わせがかなり増えていることなども説明された。
そのほかの業界代表からも異口同音に出てくるのが「人手不足」の4文字で、好調な経済における需要に供給が追いついていない現状をそれぞれが報告した。
出席者の状況説明や報告を受けた同公庫の渡部晶副理事長は「宮古の経済は好調ではあるが、最近は積極的な事業展開が難しい状況もある。公庫としてもそれは大きな課題であり、今年は雇用に適用できる新しい融資制度を検討している。そのほか、2次交通の関係で交通体系に対する融資制度などへの対応についても予算編成関係で要求している」と述べた。
懇談会では、市の長濱政治副市長、県宮古事務所の稲福具実所長、宮古島商工会議所の下地義治会頭、農事組合法人まるごと宮古島の上地和彦代表理事らもそれぞれの立場から宮古の現状や課題を説明した。