設備融資が大幅減/公庫宮古支店上期実績
前年度の3分の1に/背景に深刻な人手不足
沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)がこのほどまとめた同公庫宮古支店における設備融資実績で、2018年度上半期は億4400万円となった。これは、17年度の年間実績(34億7200万円)の約3分の1となっており、これについて同支店では「宮古の景気は好調だが、人手不足の影響もあって実績は伸びてない。今後、下半期を含めた18年度全体の実績が例年並みに伸びる可能性は厳しいと思う」と話した。
こうした背景について、同支店では「建設業者は忙しくてなかなか見積もりを出せていないし、設計士もすでに手いっぱいで(新たな)設計ができない。そうなると、ホテルや民間アパートもそうだが建設がなかなか進まなくて後回しになる。結果的に事業化までこぎ着けずに融資の実績も上がってこないことになる」と説明した。
今後の見通しについては「傾向として上期よりも年末、年度末がある下期の方で実績は上がる。しかし、深刻な人手不足の中で例年通りに下期実績が伸びるのは難しい」と予想している。
現在の宮古の現状は、入域観光客の大幅増に伴うリゾートホテルの建設ラッシュのほか、陸上自衛隊の駐屯地建設や下地島空港ターミナルなどの大型工事などもあり、人手不足が長期化している。
それに伴って新たな設備投資を行おうとしても、一層深刻化している人手不足が大きな壁となっているようだ。
融資相談の状況について、同支店は「宿泊業や民間のアパートを建設したいという話はたくさんあるが人手不足で事業化までこぎ着けられないのが現状。事業者もそれを悩んでいる」。
ある建設業者の役員は「今の宮古は大工、設備工事などを含め人手不足は深刻。今、民間住宅なども建築の坪単価は100万~110万円程度だと思うがその額で実際に工事ができるかというと、人がいないのでできない」と話した。
さらに、「そうした中で工事にこぎ着けるには大工などを沖縄本島や本土から呼び寄せて工事を行うことになり、人件費のコストも増えて坪単価はさらに上がることになる」と述べた。
そうした業界の見解について、同支店では「実際の数字的なものは持ち合わせていないが、肌感覚で言えば、アパートであれば坪単価で75万~80万円は下らない。人手不足の中で、今すぐやりたいという人がいればどうしても坪単価で120万、140万円出すから造ってほしいという人もいるかもしれない」とした。
今後の人材確保について、ある業界関係者は「これからもトゥリバー地区のリゾート開発、市役所の総合庁舎、保良の弾薬庫建設など大型工事が見込まれるので2~3年は人のやりくりは難しいかもしれない」と、先行きにも不安を示した。
一方、同支店は「沖縄本島や本土から人材を確保することも考えられるが、一つの工事のみで確保すればコスト高だが、ほかの複数の工事もまとめて人材を確保すればコストも抑えられる。最近はこの人材のシェアも検討されている」と話した。
一気に伸びた観光などを含めて圏域経済の規模が大きくなっている。そうした中で、需要と供給のバランスをどう安定させるかが今後の課題となっている。