ストレス対策を訴え/県精神保健福祉普及月間
認知行動療法の概要紹介/臨床心理士が講話
県の2018年度精神保健福祉普及月間(11月)に伴う県宮古保健所主催の講演会「充実した生活を送るためにストレスとほどよく付き合おう~こころの健康と認知行動療法」が17日、平良港ターミナルビルで行われた。会場には多くの参加者が訪れ、同療法の概要を学びながら、心の健康に影響を及ぼすストレスとほどよく付き合う方法について学習した。
講演会では、琉球大学大学院医学研究科精神病態医学講座助教の甲田宗良臨床心理士が認知運動療法について、分かりやすく説明した。
甲田氏は、日本は世界の中でも自殺の多い国家であり、2016年度で2万1764人が死亡していることを報告。
自殺と心の健康について、甲田氏は「自殺した人たちのほとんどが死ぬ間際には精神的に厳しい状況に追い込まれていた」と説明。心の健康は本人だけでなく、経済面を含め国家としてもしっかり取り組むべき課題であることを訴えた。
認知行動療法について甲田氏は、人の認知(記憶、解釈、注意、イメージなど)や行動(振る舞い、対処、反応)に働きかけて、ストレスや感情の問題を解決する心理療法の一つであることを説明。
人はストレスに曝されると、考え方が悲観的になったり、行動にまとまりが無くなるなど、問題解決ができない状況に陥る可能性があることから、そうした状況を回避するためにこの療法を用いて考えや行動のバランスを整え、ストレスとほどよくつきあっていく方法をつくり上げていくことが大切としている。
また、相談することの大切さについても紹介し、あいまいな出来事の解釈について▽自己▽仮想他者▽特定の親しい他者の視点-について比較した結果についても紹介。
この中で、「特定の親しい他者」からの視点から考えることが、解釈のネガティブさを緩和させることも説明された。
県では、11月を精神保健福祉普及月間として、その知識の普及と精神障害の予防を図っており、今回の講演会はその取り組みの一環として実施された。