防疫体制の強化求める/下地島空港
【那覇支社】国際線の就航が見込まれる「みやこ下地島空港ターミナル」が来年3月30日に開港することを受け、宮古島市の長濱政治副市長は27日、県庁を訪れ、同空港経由で海外から家畜伝染病が侵入することを阻止する防疫体制の強化などを求める玉城デニー知事宛の要請文を提出した。農林水産省動物検疫所沖縄支所に対しても、同様の要請を行った。
長濱副市長は要請の中で、「県内肉用牛農家の約4割が宮古地域で営んでおり、海外旅行者などの増加による海外悪性伝染病の侵入が懸念されている」と指摘。「下地島空港において、家畜伝染病予防法に基づく動物検疫上の指定空港として早期に指定してもらいたい」と述べた。
また、「拠点産地品目のマンゴーをはじめ、果実・果菜などの植物においても、病害虫などの侵入が懸念されている。空港での水際対策や監視体制の強化が重要な課題だ」と訴え、植物防疫法で定める飛行場としての指定も求めた。香港や台湾などで家畜伝染病が治まっていないことも指摘し、生産農家が安心して(外国人)観光客を迎えることができる体制を構築する必要があると強調した。
要請書を受け取った県農林水産部の仲宗根智農業振興統括監は「今回の要請については、指定空港化に向けた要件を確認しながら、可能な限り対応できるように取り組んでいきたい」と応じた。
同部畜産課の仲村敏課長は「われわれも一緒になって宮古の畜産を守るために水際防疫の強化に努めていきたい」と述べた。
また、長濱副市長らが同日午後に訪れた農林水産省動物検疫所沖縄支所の町田香支所長は「事情は理解している。われわれとしてやれるところはしっかり体制を整えてやっていきたい」と語った。
県は、下地島空港を家畜伝染病予防法に基づく動物検疫上の指定空港にするよう、来年1月中にも農林水産省に要望する見通し。植物防疫法については、那覇植物防疫事務所に対して準備が整い次第要請するという。